こんにちは。

最近、山梔子(サンシシ)含有の漢方薬に、「サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸管膜静脈硬化症があらわれるおそれがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等の検査を行うことが望ましい。」という「重要な基本的注意」が追記になりました。

山梔子はアカネ科のクチナシの果実を乾燥したもの。山梔子は常用できる苦寒剤として知られ、三焦の火熱を取り除くという認識が古来から記載されていました。清熱、消炎、除煩などの機能があるので、臨床ではイライラ、発熱、煩躁不安、吐血、鼻血などに利用されます。また、皮膚疾患や外科の感染症にも抗菌、消腫止痛の効果を持つため湿布剤として使われることも…。

苦寒性質の生薬は熱を取り除く(瀉熱)効果を発揮する一方で、長期使用すれば、「苦寒傷胃」と言うように下す作用や傷陰、体内の陽気を消耗させるデメリットも出てきます。そのため、症状が良くなれば服用量を減らす、あるいは停止することを考えていきます。

特に苦寒剤の使用では、まず適応の病証が有るかどうかを確認し、脾胃(消化器系)の状況を見ながら投薬します。(胃腸)病証の初期、急性期に短期間の使用は主流です。また、約一週後に症状の改善により、処方を加減したり、変更したりして、副作用を無くす、あるいは最小限度に限定します。生薬の効き目を最大限に維持すると同時にデメリットを削減するわけです。

報道では、腸間膜静脈硬化症の発症は、山梔子が含まれている方剤の服用歴に関連しており、特に発症患者の9割は5年以上の服用歴があることが明らかになっていました。

この件に関して中医師の見解では、服用者の体質や症状の弁証をせずに使用することがほとんどであり、これは中医学の弁証論治の原則に反することで、中薬の濫用であるとしか考えらない…とのこと。山梔子に対して過剰に恐れる必要はないと思います。

その人の「証(体質・症状)」に合っていない、長期服用する漢方薬ではないものの長期服用…副作用というよりは使い方なのだと思いますが、改めて漢方薬の漫然使用による害…ということを考えさせられました。