こんにちは。

今回、山口中医薬研究会では東京から講師の先生をお迎えし、五臓の「肝」について勉強しました。

中医学では、体のはたらきを「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五臓を中心として考えます。

その中の「肝(かん)」は、「血」を蓄え体内の血量を調整する臓器です。中医学では「気」「血」の巡りを良くし、自律神経の安定や骨、筋肉の緊張を維持する臓器と考えられています。

今回の「肝」のポイントは、「肝は体は陰にして用は陽なり」「肝は昇発を主る」というもの…。

「肝は体は陰にして用は陽なり」とは、「肝」は血を蔵する臓器で血は陰に属するので「肝の実体は陰」、しかしその作用、性質、機能は「動」、「熱」に偏りやすいので「肝のはたらきは陽」…ということです。なので、「肝」は陰血が充足してはじめて十分な機能を果たす…ということです。

「肝」のはたらきが低下から「蔵血作用」が低下し、「血虚」の症状が改善しにくくなる…それにより「肝陽上亢(かんようじょうこう)」や「肝風(かんぷう)」が起こりやすくなります。症状は頭部に起こりやすく、怒りっぽい、頭痛、めまい、耳鳴り、目の充血、不眠…などの症状があらわれやすくなります。

「肝は昇発を主る」とは、肝の昇発による作用としては、新陳代謝がスムーズに行われたり、意欲的に考え行動する精神活動を指しています。このはたらきが低下すると、判断力や計画性、意欲…というものが鈍くなり、やる気が落ちてきます。

「肝」のはたらきの低下…特に昇発作用の低下から、「疲労感」を感じる…ということは多いようです。元気をつける漢方薬でなかなか改善が見られない場合、「肝」を改善する…ということがポイントとなるようです。中医学には「肝は罷極(ひきょく)の本」という言葉があります。「罷」とは「疲」のことで、体の疲労は「肝」が根源にあることが多い…ということを言っています。

加えて、「肝」に作用する漢方薬とその出典から理解する…という、今までとは違った形のお話で、詳しく理解をすることができました。

今回の勉強会で、「肝」というのが奥深い臓器であることを再認識することができました。