こんにちは。

中医学の中では、「気」「血」「津液(水)」は健康を支える3本柱と考えます。

この中の「気」は内臓や組織・器官のはたらきを活発にして生命活動を支えるエネルギーであり、情報を伝え全体のバランスを整える伝達物質でもあります。

エネルギーとしての「気」は、それぞれの内臓の生理機能を行う上での活動源になります。

たとえば「心気」は心臓を拍動させて血液を全身に送りますし、「脾気」は消化吸収を行います。「肺気」は呼吸を行うエネルギー源となります。

そんな伝達物質でもある「気」は、主に「肝」でコントロールをされています。

ストレスが加わると「肝」の「気」の流れが悪くなり、「気滞(きたい)」という状態が発生します。

「気滞」の状態になると、イライラする、胸や脇の辺りが脹る、お腹が脹りガスやゲップが多い、頭が脹ったように痛むなどの症状があらわれます。「気滞」は風船がパンパンに膨らんだ状態…ボクたちが気持ちを落ち着けるときに深呼吸をしたり、ため息をつくのは、ストレスによって発生した「気の滞り」を解除しようとする本能的な反応と言えるかもしれません。

「肝」の「気」が停滞すると、更には心臓・胃腸・肺などの機能のコントロールが上手くいかなくなり、動悸、息切れ、過呼吸、食欲不振、下痢、便秘などの症状があらわれることも…。

この症状は心臓や胃腸などが悪いわけでもありませんので、検査をしても原因が見つからず、「自律神経失調症」と診断されることもあります。

特に、春は精神的に不安定になりやすく、ストレスを受けやすい季節。

気温の変化や、新しい環境でのストレスで、「肝」の気を巡らせるはたらきを衰えさせ、体調不良を訴える人が多くなり、心身のバランスが乱れやすくなります。

「身体的ストレス」に「精神的ストレス」が加わることで「気」の巡りが悪くなり、自律神経の乱れを引き起こす…というわけです。

春の養生のポイントは、「肝」の機能を高め、メンタルヘルスに努めることです。

このような場合、中医学ではこれらの症状を引き起こした根本的な原因となる「気滞」に着目し、それを改善するための「理気薬(りきやく)」や「疏肝薬(そかんやく)」と呼ばれる漢方薬で「気」の流れをコントロールします。