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中医学では、病気を引き起こす原因を「邪気(じゃき)」と呼んでいます。

「邪」とは不正常の意味…天候の異変はもとより、飲食物の量や質が極端に偏った場合も「邪」に相当します。特にお酒の席が続くこの時期は、この「邪」に注意をしなければいけません。

中医学では、飲食の不摂生による胃腸の障害を「傷食(しょうしょく)」と言い、傷食が長引くと未消化物が胃腸に溜まって「食積(しょくせき)」となります。

「傷食」や「食積」を防ぐには、腹八分目、冷たい物の摂り過ぎない…を心がけることは大切です。

また、食卓にのぼる身近な野菜の中にも消化機能を高めてくれるものもあるので、上手に摂りたいところです。

たとえば大根…特に辛い部分がいいそうです。葉の部分にも胃腸の膨満感を軽減するはたらきがあります。

また、春菊のような香りのある野菜や、胡椒(こしょう)、山椒(さんしょう)、桂皮(けいひ)などの香辛料にも、胃腸の機能を整える効果があります。

漢方では「傷食」や「食積」には、消化酵素を含む生薬が用いられます。消化を促進する薬のことを「消導薬(しょうどうやく)」と分類され、代表的なものに山楂子(さんざし)、神曲(しんぎく)、麦芽(ばくが)、穀芽(こくが:イネのモミ)、鶏内金(けいないきん:鶏の砂袋)、莱服子(らいふくし:大根の種)などがあります。

その中で、山楂子、神曲、麦芽をそれぞれ炒って合わせたものが「焦三仙(しょうさんせん)」という漢方薬です。

酸っぱい山楂子には、脂肪分の消化を助け、食欲を増進するはたらきがあります。神曲は小麦粉、麹(ふすま)などを混ぜ合わせて発酵させたもので、麦芽とともに米や麺、パンなどのデンプン類の消化を助ける…と言われています。

「焦三仙」は、このようにどんな食べ物の消化にも適しています。日本ではエキスタイプの「晶三仙(しょうさんせん)」があります。

ただ、もともと胃腸の弱い方でしたら、「健胃顆粒(けんいかりゅう)」などの漢方薬で消化吸収の機能を高めてあげることが大切です。