こんにちは。

150602_2

アトピー性皮膚炎の方の多くは、汗をかくことで痒くなる…と訴えられます。

その原因として考えられるのが、

①汗そのものが、傷つき荒れた皮膚を刺激する
②汗の成分に対しアレルギー反応を起こす
③さまざまな空気中のアレルゲン(ハウスダスト、ダニ、カビなど)が汗に溶けて皮膚に付着し、吸収されアレルギー反応を生じる
④化粧品や外用剤などが汗と反応してアレルギーや刺激を生じる

…などが考えられます。このように、汗は痒みを増強したり、皮疹を悪化させるため、増悪因子とされてきました。

一般的には汗をかくということは、ボクたちにとっては大切な機能です。

汗の機能としてまず思い浮かぶのが「体温調節」だと思います。汗を出し、皮膚の上で蒸発させることで体温を調節し、外気の熱から体を守っています。

また、汗には「保湿」や「感染予防」などの機能があることも分かっています。汗と皮脂とが混じり合うことで皮脂膜が形成され、これが皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしています。

アトピー性皮膚炎の方は、一般的にこの発汗機能が弱まっている…と言われています。発汗量が少なく、汗をかくまでの時間が長くかかっていることも分かってきました。上手く汗をかけないと体温が上昇し、痒みがさらに強くなります。

汗をかかない生活をしていると、この発汗機能が低下する…とも言われています。また、引っかくことにより皮膚の損傷やバリア機能の低下につながり、発汗の調整が傷害される場合もあります。炎症に伴って皮膚の肥満細胞から分泌されるヒスタミンが、発汗機能を低下させるため、炎症を抑えることは病状を改善するだけでなく、発汗機能を高めることにもつながります。

ですから、汗をかく、汗をかける…ということは、悪いことではない…ということです。汗をかく機会をもちながら、しっかりとかいた汗を洗い流す…というこで皮疹が改善するケースもあるようです。