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中医学でいう「脾(ひ)」は消化吸収機能の代名詞であり、食物や水分の栄養吸収と代謝促進をする臓腑と考えています。「脾」は、摂取した栄養をエネルギーに変え、全身に役割もしています。

この「脾」のはたらきが弱ると、疲れやすく元気が出ない、食欲不振や軟便、下痢などの症状があらわれます。そして水分代謝も悪くなり、体に必要な潤いを作り出すことができなくなります。そうすると、唾液が少なく口の中が乾く、唇や肌の乾燥が気になることも…。

「脾」は元気のもととなる「気」を生み出し体全体に行き渡らせる役割をもっていますので、「脾」のはたらきが弱ければ、作られる「気」も不足がち…。体に本来備わっている「抵抗力」や「免疫力」が弱くなってしまいます。

疲れやすくいつもだるい、食欲がわかない、お腹が張る、ゲップ、下痢や便秘などの症状がある…。このように消化吸収が低下している状態で、「元気を付けよう!」と栄養豊富な食事をしても、下痢や軟便を繰り返してしまいます。

また、「気」は体に必要な潤いを作り出す役割を担っているので、肌の潤いにも関係してきます。

日本人は「外因」「内因」「不内外因」から、この「脾」のはたらきが弱くなりやすい環境にあると言われています。

「外因」は外的な環境因子…つまり湿気の多い気候です。日本の年間降水量は世界平均の2倍もあると言われています。

「内因」は精神的なストレスのことです。

「不内外因」は食事です。胃腸のはたらきに悪影響を与える「冷たいもの」「油っこい食事」「過度の飲酒」「乳製品」「トランス脂肪酸」などをたくさん摂るような生活をしています。

健康な体は「健康な胃腸から」と言われます。つまり「脾」のはたらきがしっかりすることが大切です。

中医学では、体のはたらきを「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五臓を中心として考えます。「脾」は胃腸、消化器系のことで、「肺」は呼吸器系と皮膚。この「脾」と「肺」は相生(そうせい)関係といって親子関係に当たります。「脾」が丈夫になれば「肺」も丈夫になる。胃腸を丈夫にすれば、皮膚も丈夫になる…。

「脾」のはたらきを強化し、正常にすることを「健脾(けんぴ)」と言います。

「健脾」の漢方薬はたくさんありますが、特に慢性的に軟便や下痢がある場合は、消化を助けお腹の調子を整える「健脾散(けんぴさん)」がおススメです。