こんにちは。

アトピー性皮膚炎の痒みを引き起こす主な刺激として、「掻破(かくこと)」「発汗」「高すぎる室温」「空気の乾燥」「衣類の刺激」「精神的な緊張、精神的なストレス」「強い日光」などなど。

正常の人の皮膚では大丈夫な刺激でも、アトピー性皮膚炎の人にとっては耐えられない痒みを引き起こします。それは痒みを伝える神経「C線維」が関係しています。

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痒みを伝える神経である「C線維」は細い神経線維で、脊髄から皮膚まで伸びています。「C線維」の先端は、ふつう表皮の下の真皮まで伸びていないのですが、皮膚が乾燥すると、「角層のバリア機能」や「水分保持機能」が失われ、この「C線維」の先端が表皮の中まで伸びてしまうんです。

なので、通常では痒くならないような弱い刺激にも反応し、「掻きたくなる不快な感覚」を覚えます。

また、「掻き過ぎ」も痒みを助長します。「掻き過ぎ」て皮膚の細胞を壊してしまうことにより、「C線維」の成長を抑える物質が減少…結果として「C線維」の成長を抑えられなくなり、強い痒みに襲われる…というわけです。

漢方薬の内服により、症状に合わせた対応をしていくのと同時に、スキンケアで保湿をし、掻かないような工夫が大切です。

たとえば、「C線維」は温度にも影響するので、掻く代わりに水で冷やしてあげることは有効です。水で湿らしたタオルを使うのもいいと思います。ですが、氷で冷やすのは冷え過ぎで、そのあと痒くなることがあります。

場合によってはスキンケアで保湿した後、部分的にステロイド外用剤を塗ってしのぐことが必要なときもあります。

また「角層のバリア機能」「水分保持機能」が失われた状態では、アレルゲンや微生物が容易に侵入してしまい、痒みの悪循環を生んでしまいます。

そうならないためにも、スキンケアで保湿をしてあげながら、漢方薬の内服で対応し、「角層のバリア機能」「水分保持機能」を高めてあげることが大切であると考えます。