こんにちは。

カゼに対し、西洋薬を用いるときは、特にその方の体質を考えることはほとんどありませんが、漢方ではまずそれが「寒性のもの」なのか「熱性のもの」なのかを判断しなければ始まりません。

ゾクゾクと悪寒がして、首筋が凝るような場合であれば「寒性のもの」なので、葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)などが一般的に用いられます。

一方、悪寒はないが熱が高く、のどが痛いような場合であれば「熱性のもの」なので、天津感冒片(てんしんかんぼうへん)、涼解楽(りょうかいらく)、銀翹散(ぎんぎょうさん)などが一般的です。

西洋医学では一般的には解熱剤のほか、細菌感染を予防したり抑えるために抗生物質が併用されることがあります。抗生物質は細菌には強いですが、ウイルスに対する抑制効果はほとんどありません…。

インフルエンザにはワクチンが効果的ですが、ウイルスの変異のスピードは早いので、新型ウイルスによる有効な治療法がなく、大流行すると体が弱く、抵抗力のない人が犠牲になることが多いです。

漢方薬には、効能効果にはうたってはいませんが優れた抗ウイルス作用をもつものが多いです。

たとえば板藍根(ばんらんこん)、金銀花(きんぎんか)、連翹(れんぎょう)などの清熱解毒薬といわれる生薬は、抗菌作用、抗ウイルス作用があるとされています。そのうえ、細菌やウイルスが放出した毒素を中和し免疫力を高める作用がありますが、副作用が少ないです。

それに漢方薬の成分は複雑で、その配合法も千差万別…。そういった理由から、ウイルスの耐性ができにくいのも漢方薬の利点かもしれません。

ウイルスは、呼吸器を介して体内に侵入します。わずか1個のウイルスは、約8時間後には100個、さらに8時間(感染から16時間後)には1万個、更に8時間を経過(感染から24時間後)すると、ウイルスは実に100万個にまで増殖すると言われています。そのため、早めの対応が肝腎です。

熱が高く、のどが腫れて痛む、口が渇く、頭が痛い…このような症状がある場合、「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」がおススメです。

その中の、荊芥(けいがい)と薄荷(はっか)は「発汗作用により風邪を駆除」し、桔梗(ききょう)と牛蒡子(ごぼうし)は「のどの症状を改善」し、さらに「抗生物質のような作用」をもつ金銀花と連翹はカゼのウイルスのみでなく、扁桃炎や上気道炎などの合併症を起こす細菌も抑制します。さらに、幼児の高熱時に見られるひきつけにも配慮して、「解熱鎮静・痙攣緩和作用」のある羚羊角(れいようかく)も加えた、万全の処方です。

のどが腫れて痛む場合、ボクがよくおススメしているのが、この「天津感冒片」です。錠剤なので、トローチのように舐めてもらいます。直接のどに当てることで速効性もあり効果もいいです。