こんにちは。

中医学では、血液が流れにくくなったり、詰まった状態のことを「瘀血(おけつ)」と言います。そして、その原因は様々…。

「瘀血」を改善するする方法を「活血化瘀(かっけつかお)」と言いますが、その原因や併発している病気の状態なども考えながら、漢方薬を併用して本来の作用をより高めることが必要だと考えます。

「瘀血」のタイプは、大きく6タイプに分けられます。

①元気不足(気虚)タイプ②血液不足(血虚)タイプ③冷え・寒がり(陽虚)タイプ④体液不足(陰虚)タイプ⑤イライラ(気滞)タイプ⑥ヘドロがたまった(痰湿)タイプ…。

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健康な人の血液の流れは、勢いよく流れる清流に例えられます。血管の中を流れる赤血球・白血球・血小板は、伸縮性のあるゴムボートです。

川が正常に流れるためには、水がキレイで勢いがあり、水量も豊富で川幅も充分にある…ということが条件です。血流の場合も同様で、タイプに応じた対策が必要です。

◎元気(不足気虚)タイプ…元気がない、息切れ、倦怠感、汗をかきやすい、カゼを引きやすい、食欲不振、下痢しやすい。
【原因】虚弱体質、過労、心臓のポンプ作用の低下
【川の状態】川の勾配差がなく、水流に勢いがない状態
【対策】心臓のポンプとしての力を強める(水流に勢いをつける)
【生薬・処方】朝鮮人参、黄耆、麦味参顆粒、補中益気湯、衛益顆粒など

◎血液不足(血虚)タイプ…顔色が悪い、動悸、立ちくらみ、皮膚にツヤがない、経血量が少ない。
【原因】栄養不良、偏食、出血、造血機能障害
【川の状態】ゴムボート(血球)が減少した状態
【対策】血液を増やす(ゴムボートの数を増やす)
【生薬・処方】当帰、阿膠、熟地黄、婦宝当帰膠、参茸補血丸など

◎冷え・寒がり(陽虚)タイプ…手足の冷え、寒がり、倦怠感、むくみ、夜間多尿。
【原因】体の熱エネルギー不足、冷たいものの摂り過ぎ、外気の寒さ
【川の状態】外気の温度が下がって、川が凍結した状態
【対策】体を温める(水温を上げる)
【生薬・処方】鹿茸、附子、肉桂、八味地黄丸、海馬補腎丸など

◎体液不足(陰虚)タイプ…口やのどが渇き水を飲みたがる、手足がほてる、のぼせ、寝汗、皮膚の乾燥。
【原因】発汗多過、嘔吐・下痢・高熱による脱水、慢性疾患による体液消耗
【川の状態】川の水量が減って、ゴムボートが浅瀬に乗り上げた状態
【対策】体液を増やす(水量を増やす)
【生薬・処方】麦門冬、生地黄、八仙丸、瀉火補腎丸など

◎イライラ(気滞)タイプ…胸部や腹部に張り・痛みがある、ため息が多い、イライラ、怒りっぽい。
【原因】ストレス、緊張状態の継続
【川の状態】川幅が狭くなって、流れがとどこおった状態
【対策】ストレスを緩和し、血管を拡張する(川幅を広げる)
【生薬・処方】木香、香附子、柴胡、逍遥丸、開気丸など

◎ヘドロがたまった(痰湿)タイプ…頭が重い、吐き気、胸がつかえる、昼間でも眠い、口の中がねばる、体が重く感じる。
【原因】飲み過ぎ、食べ過ぎ、代謝の低下
【川の状態】ヘドロやゴミがたまってドロドロになり、水が動かなくなった状態
【対策】過剰な脂質や水分を除く(ヘドロやゴミの除去)
【生薬・処方】沙棘油、沙棘フラボノイド、山楂子、半夏、温胆湯など

1つの種類の薬が誰にでも同じように効くか…といえば、意外にそうとは言えません。ひとくちに「瘀血」と言っても、その発生原因や1人1人の体質の違いによって、色々タイプがあるからです。

ですから、自分のタイプを知って対応することが必要だと考えます。