こんにちは。

「痔」は、肛門の周囲にある静脈が詰まって起る、一種の静脈瘤…です。

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肛門の「歯状線(しじょうせん)」というギザギザ部分よりも上にしこりができるのが「内痔核(ないじかく)」。排便時などにポタポタと出血しますが、あまり痛くはありません…。

「歯状線」よりも外側にできるのが「外痔核(がいじかく)」で、出血はあまりないものの、排便時に強く痛みます…。

「歯状線」に沿って切れ、走るような出血があり、痛みも強いのが「裂肛(れっこう)」です。

いずれの「痔」にも共通していることは、「肛門部の血行障害」です。

「痔」の治療の基本は、血行を改善すること…。

ます、お酒とタバコを少なくとも治療中は中止する必要があります。

肛門の周囲の静脈は、門脈系と呼ばれる静脈に属していて、肝臓に流れ込みます。つまり、お酒を飲んでいると肝臓の負担が増えて、血液の流れをふさぎ止めるため、肛門の周りの血行が妨げられ、うっ血がひどくなり、「痔」を悪化させます。

また、タバコも血管を収縮させるので、やはり「痔」に良くありません…。

「痔」によく効く生薬として知られているのが、エンジュの成熟果実「槐角(かいかく)」と、ワレモコウの根「地楡(ちゆ)」です。

この消炎・止血作用に優れた2つの生薬は、血管を丈夫にして止血し、肝臓のはたらきを高めて血行を改善する作用があります。この2種を中心に、増血し、便秘を良くする生薬を加えた「浸膏槐角丸(しんこうかいかくがん)」という処方は、「痔」の治療によく使われます。

江戸時代の医家・原南陽(はら・なんよう)の処方に「乙字湯(おつじとう)」があります。この処方にも肝臓のはたらきをよくする生薬と、便通をつける生薬が配合されています。

「痔」の治療によく用いられる処方ですが、便秘がちな人の「痔」に、「浸膏槐角丸」と併用すれば、一層効果的かもしれません…。