こんにちは。

漢方薬はなぜ効くか?…これは腸内細菌によるものだと言われています。

漢方処方を構成する生薬には、様々な「配糖体(はいとうたい)」が有効成分として含まれています。

配糖体は腸内細菌による代謝(加水分解)を受けることで生理活性成分となり、はじめて薬効を発揮する…と言われていて、これを腸内細菌による薬物送達系(Drug Delivery System、DDS)と言います。

たとえば、漢方便秘薬として有名な「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」。大黄と甘草からなる漢方薬ですが、その便秘に効果をあらわすのは、大黄に含まれる「センノシド」という成分です。甘草は大黄のはたらきを助けながら、下痢や腹痛などの副作用を抑えています。

大黄に含まれる「センノシド」は、胃や小腸で作用せず、大腸に到達してからはたらきます。

それは、「センノシド」が大腸の腸内細菌によって「レインアンスロン」という活性代謝物に分解されますが、その「レインアンスロン」が大腸を刺激し、蠕動運動が促進され瀉下作用が発揮されるからです。つまり、「センノシド」は天然のプロドラッグ…と言えます。

ということは、抗生物質や正露丸のような腸内細菌を減少させるような薬物の併用には、十分な効果が期待できない可能性があります。

腸内細菌が構成する腸内フローラは個人差が大きく、その代謝の率も一定せず、薬効における個人差を引き起こす…とも言われています。

腸内細菌も、ボクたち人間も、基本的に食べ物に依存しています。その食事内容の構成により、腸内フローラの機能が善玉的なはたらきになったり、悪玉的はたらきになったりします。

それが漢方薬の効き目に影響する…というのはとても興味深いことです。