こんにちは。

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山口中医薬研究会の勉強会が「山口伝承センター」でありました。

今回は、中医師の劉伶(りゅうれい)先生による活血薬「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」の薬理作用についてでした。

「冠元顆粒」は丹参(たんじん)、紅花(こうか)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、木香(もっこう)、香附子(こうぶし)の6つの生薬で構成されています。主薬である丹参は今注目されている生薬で、薬理研究をされている生薬の中でダントツ一番なんだそうです。ただ、丹参の入っている漢方薬はそう多くはありません…。

発売されて25年になる「冠元顆粒」は、これまで様々な薬理作用が研究によって明らかにされています…。

・血圧上昇抑制作用、脳血流改善:家森氏ら(京都大学大学院 2001)
・血管性痴呆の認知機能障害の改善作用:本橋氏ら(東京女子医科大学 2005)
・血管改善効果-抗トロンビン作用:鹿野氏ら(北海道薬科大学 2002)
・老化促進モデルマウスの学習・記憶障害の改善作用:菅谷氏ら(アメリカ 1993)
・アルツハイマー型、脳血管認知症のアポトーシス減少作用:藤原氏ら(福岡大学 2008)
・SOD(抗酸化作用)活性改善、MDA(糖尿病中間産物)を低下させる作用が著明:横澤氏ら(富山医科薬科大学 2003)

その中の「認知症」の研究を中心にお話されました。

認知症になりやすいタイプは「加齢」「孤独」「抑うつ」「嗜眠(しみん)」「突如の精神ショック」「脳血管病歴」「薬害」とあります。

脳の細胞が死ぬと、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行力障害などの「中核症状」から付随して、不安・焦燥、うつ状態、幻覚・妄想、徘徊、興奮・暴力、不潔行動、せん妄などの「周辺症状・随伴症状」があらわれます。

「冠元顆粒」は、「空間記憶障害を改善する作用」「抗アポトーシス作用」「脳血流を改善する作用」などから、認知症の「周辺症状」を改善させるはたらきがあることが実験により確認されています。

若年性認知症の場合、「アミロイドβ」という物質がどんどん溜まることで、脳細胞の機能が阻害されてしまうことが原因とされています。

先生は、この「アミロイドβ」を中医学から見たときに、「瘀血」「痰湿」であるとの考えを示されました。

中医学では総合的に判断し処方を選択します。漢方薬を組み合わせることにより、より効果を高めていくわけです。処方は色々ありますが、要は考え方が大切であると思います。

その他、「冠元顆粒」のアンチエイジング(抗老化)作用、活性酸素の産生抑制効果、血管保護作用などの研究についてもデータを示しながらお話しいただきました。

また、先生の症例の中で、コレステロールの数値が4000…という1桁違う人に、「冠元顆粒」+αで400まで下がった…というお話は大変興味深かったです。

「冠元顆粒」には現代において、必要な漢方薬であると再認識しました。

劉伶先生、ありがとうございました。