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「国立健康・栄養研究所」がまとめた「アトピー性皮膚炎の栄養指導」のポイントは、①和食を取り入れバランスよい食事、②タンパク質・脂質の摂り過ぎに注意、③除去食については必ず相談…というものでした。

アトピー性皮膚炎が増えている要因の1つとして考えられるのが「食生活の変化」。日本でも戦後、総エネルギー摂取量、肉や油や砂糖の消費量が増加するとともに、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が増えてきたと言われます。日本人はタンパク質・脂質の多い状況に体が慣れていない…という指摘もあるようです。

また、油についても触れられています。ドレッシング、スナック菓子に含まれるリノール酸を代表とする「N-6(オメガ6)系脂肪酸」は必須脂肪酸ですが、過剰摂取するとアトピー性皮膚炎を悪化させるとあり、逆に、魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった「N-3(オメガ3)系脂肪酸」は良いとされています。

そして、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因として注目されているのが「腸内細菌叢(腸内フローラ)」の変化です。腸全体のはたらきは、吸収・排泄・免疫調節という複雑な過程をこなす消化器官…。ボクたちの生活環境を1番良く知る臓器です。つまり、腸内細菌のバランスをとることが要になります。

エネルギー摂取量、肉や油の摂取量が多い食事だと「腸内細菌叢」が変化し、悪玉菌が増えるとされます。

一方で「腸内細菌叢」の改善に期待されているのが乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌…。ただ、摂取しても大腸まで生き残るものはほんの僅か。しかも100兆個とも言われる腸内細菌の中で定着するのは難しいことです。なので、自分の腸内に安住する乳酸菌やビフィズス菌を増殖するため、エサとなるオリゴ糖や水溶性の食物繊維なども必要であると思います。

ただ、同じものばかりを食べていると、今度はその食品が原因でアレルギーを起こすこともあるようです。良いとされる食品は、食生活の中に上手に取り入れることが大切です。

「食養生」というものが、いかに大切であるかが「国立健康・栄養研究所」がまとめた内容からも分かります。

アトピー性皮膚炎も何らかの食べ物がアレルゲンになって症状を悪化させることがあり、乳幼児では約3割がアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを合併しているとあります。乳幼児は消化管の機能のすべてが未熟なため、食物が十分に分解されず、大きな分子のままで体に取り込まれ、それが異物と認識し、アレルギー反応を起こしてしまうからだと考えられます。

アレルゲンがハッキリ分かっていて、それによってアナフィラキシーショックを起こす場合は除去が必要となりますが、小さな子どもの場合、極端な除去による発育不全の方が問題となっているようです。

まずは、日本の伝統食である和食を中心として、バランスの良い食事を心がけることが大切です。