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田七人参(でんしちにんじん)は、中国の南…雲南省から広西省にかけての海抜1200~1800mの限られた地域で栽培されるウコギ科の植物で、三七人参、田三七などとも呼ばれます。

ボクが「中医皮膚病」の「中国臨床研修」に参加したときの研修先の雲南省の特産で、研修中にはよく見かけました。

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根の部分を掘り起こし、日干しにして半乾きにし、さらに手でもみながら黒褐色のツヤが出るまで硬く乾燥したものを薬用とします。

田七人参は同じウコギ科の生薬である朝鮮人参の親戚筋に当たります。田七人参は、朝鮮人参、シベリア人参、西洋人参と並んで、4大人参の1つに数えられています。

成分としては、朝鮮人参にも多量に含まれるジンセノサイドRb1に代表される「サポニン」という化合物が、多量に含まれており、滋養強壮や補気(気を補う)のはたらきが同様にあります。

中国では、16世紀末頃より刀などの金属による切り傷、打撲、ねんざなどの出血や内出血を伴うケガに対し、止血、消炎、鎮痛などの民間薬として雲南省を中心に使われ出したと言われています。

この優れた止血作用は、ベトナム戦争のときに北ベトナム軍の兵士がケガの傷口に使った「雲南白薬(うんなんびゃくやく)」の効き目に、敵軍であるアメリカ軍も驚いた…というエピソードが残っています。その「雲南白薬」の成分の80%が田七人参…と言われています。

事実、近畿大学で行われた比較実験では、トラネキサム酸などの止血薬と同等か、それを上回る効果が確認されています。

田七人参のすごいのは、止血作用に加え、血管の破裂などで内出血してしまった血液(瘀血)を流動性のものに変え、または体に吸収させ、体の中に停滞させないところ…。つまり、「止血」と「活血」の相反する性質を同時に持っているところです。

田七人参は中国でも「漢方薬版新薬」としての研究が進んでいて、「冠状動脈の中を血液が流れる量を増すし、心臓への負担を軽くさせる」「血液をネバネバからサラサラへと変え、コレステロールを減少させる」といったような循環器に対するはたらきや、腫瘍やガンへの消炎・抗ガン作用など、次々と新しいはたらきが発見されています。