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検査をしても病気や炎症は見られないのに、不快症状が治らないケースもあります。こうした胃の不快症状は「機能性ディスペプシア」と言われ、最近多い傾向にあるようです。

「機能性ディスペプシア」は、潰瘍や悪性腫瘍などの器質的疾患がないにもかかわらず、さまざまな症状が慢性的に生じる疾患のこと。

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国際診断基準から、①食後のもたれ感②早期満腹感(食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになる)③みぞおちの痛み④みぞおちの灼熱感…の4つの症状で判断するそうです。これらの症状は、以前は神経性胃炎、ストレス性胃炎などと言われていました。

①と②のように食べ物に関係する症状と、③と④のように痛みに関係する症状に分かれますが、これらのうち1つ以上が3ヶ月以上続いて、なおかつ胃カメラ検査で異常がない場合、「機能性ディスペプシア」…と診断されます。そして、日本人の4人にひとりは「機能性ディスペプシア」をもっている…と言われています。

「機能性ディスペプシア」はストレスが原因で起こる病気…。ストレスを上手にさばくことができる人は、かかる可能性が低いとも言えます。

中医学で考えたときに、深く関わる臓器は「肝」と「脾」。「肝」はストレス、怒りと関係し、「脾」は飲食物の消化と吸収と関係する臓器です。「肝」の昂ぶりは「脾」の衰えを招く…という相克(そうこく)関係により起こっていると考えられます。

ストレスで胃腸のはたらきが悪くなる…というのが、「肝」と「脾」の相克関係として、一般的によく見られるものだと思います。

病院では「機能性ディスペプシア」の治療に「酸分泌抑制薬」「消化管運動機能改善薬」「漢方薬」「抗うつ薬、抗不安薬」が出るようです。そして、その中の「漢方薬」は、六君子湯(りっくんしとう)が処方されることが多いようです。

「脾」のはたらきを高める代表的な漢方薬です。最近の研究で胃の排泄能を改善したり、グレリンという食欲に関連するホルモンの感受性を高めることで食欲改善効果があることが分かってきました。

中医学では、心身の状態を総合的に捉えますので、胃や腸だけを治療対象とするではなく、ストレスに起因する身体の反応にも目を配り対応することになります。

つまり「肝」の失調も、胃腸の機能に深く関わっていますので、「肝」と「脾」を合わせて考えていく必要があると思います。