こんにちは。

ボクたちの体の外側…体表にある皮膚、皮下組織、鼻、気管支などを有機的につないで、環境に適応させる機能のことを中医学では「衛気(えき)」と言います。

「衛気」のことを「バリア機能」と表現することがありますが、人体の第一次防衛ライン…と考えると分かりやすいかもしれません。

「前に比べて寒がりになってきた」「厚着をしていないのに、汗をよくかくようになった」「体温がもともと低いほうだ」「冷房が苦手で、冷え性気味」「年中カゼを引く」「のどが弱くて炎症を起こしやすい」「鼻が年中グズグズしている」…といったことはありませんか?

「衛気」が不足すると、体温調節機能が変調をきたし、皮膚温度が下がって寒がりになり、寒さに抵抗できなくなります。そうなると、カゼを引きやすくなります。そして、いったんカゼを引くとダラダラと長引き、スキッと回復しない状態になります。

一方で「衛気」が不足すると、毛穴の開閉による体温調節や発汗のコントロールも上手くいかなくなります。汗をダラダラかくことは「気」の流出にもなり、「衛気」がますます消耗していく…という悪循環にも陥ることがあります。

「衛気」の不足を加速させる原因が、ボクたちの生活の中に潜んでいます。

季節に関係なくよく見られる薄着、これは体のエネルギーを必要以上に消耗させます。

また、冷たいものや生ものの摂り過ぎも…。体を芯から冷やすことになり、体を温めるエネルギーを消耗してしまうことになります。

そして、食生活とともに密接に関係しているのが「高温多湿」という気候風土…。ジメジメして蒸し暑い気候では、常に汗をかき、「気」を消耗してしまいます。それによって、体力が落ちて体がダルくなるわけです…。

「衛気」の不足というのは、自然界への順応能力の低下、体の内部と外部との平衡が乱れてしまうことを意味します。国防に例えるなら、国民を外敵から守るための兵士がいない状態。家の防犯でいえば、窓や玄関に鍵がかかっていない…という状態です。そのような状態が、アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそくなどのアレルギー疾患を引き起こしたり、カゼ・インフルエンザにかかりやすくなる…と考えられます。

ですから「衛気」を不足させないことが、これら病気の予防の第一歩だと考えます。

「黄耆(おうぎ)」は「衛気」を補う生薬として知られていますので、合わせて利用するといいかもしれません…。