こんにちは。

「ワタナベオイスターセミナー」の関西セミナーの後半「ストレスと生殖機能」についてのお話です。

女性の月経のメカニズム

①脳の一部である脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)が卵胞を発育し、成熟させる。
②成熟した卵胞は卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促進し、血中のエストロゲン濃度が上昇することによって、脳下垂体は刺激される。
③エストロゲンによって刺激された脳下垂体は、黄体ホルモン形成ホルモン(LH)を分泌。
④このLHの刺激によって、卵胞から卵子の排卵が行われる。
⑤また、同時にLHは黄体を発育させる。
⑥黄体から分泌された黄体ホルモン(プロゲステロン)とエストロゲンが、厚くフカフカしていて柔らかく、粘膜で潤った着床しやすい子宮内膜をつくる。

受精卵が着床しなければ、不要となった子宮内膜がはがれ、血液とともに排出されます。これが月経で、「視床下部→脳下垂体→卵巣→子宮」という軸があるわけです。

それ以外に、ボクたちの体はHPA系「視床下部→脳下垂体→副腎」という、ストレス応答や免疫、摂食、睡眠、情動、繁殖性行動、エネルギー代謝などを含む多くの体内活動に関して相互作用を行い制御している神経内分泌系の軸もあります。

ストレスを受けると、視床下部から出た副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が脳下垂体を刺激、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が放出され副腎皮質を刺激、副腎皮質から糖質コルチコイド(コルチゾール)が分泌され血糖上昇…一時的に力が出るわけです。

この反応、動物が危機におかれたときの防御反応(攻撃または逃走をとるか)だと言われています。当然、外敵から逃げ終わると「負のフィードバック」により、コルチゾールの分泌を減らすように脳の海馬が指令を出します。

しかし、ストレスを受け続けていると、この「負のフィードバック」が上手く働かず、コルチゾールが過剰となってしまいます。その過剰なコルチゾールにより、脳下垂体の機能が抑制され、FSHとLHの分泌が低下し、卵胞発育、排卵が抑制されてしまう…というわけです。

お話の中で「ヒトは脳(脳下垂体)で妊娠している」と強調されていました。

「負のフィードバック」が上手くいかない原因の1つに過剰な「活性酸素」の存在があるようです。脳の「活性酸素」を消去することが、脳下垂体の機能低下を抑えることにつながる…ということです。

また、紹介された文献によると、過剰な「活性酸素」により酸化ストレスを受けた場合の「胞の出現率の評価」では、酸化ストレスの高い順に、①卵胞を穿刺しても卵が採取できない卵胞 ②採取された卵が受精しない卵胞 ③受精した胚の形態的発育評価がpoorの卵胞④胚の形態的発育評価がgoodとなった卵胞…の順だそうです。

精神的ストレスや肉体的ストレスを受けると、過剰な「活性酸素」を発生させ、さらに脳下垂体の機能が抑制されることで、生殖機能に悪影響を及ぼす…というのが今回の要点でした。