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先日の山口中医薬研究会で、中医師の仝(トン)先生から「十問歌(じゅうもんか)」を紹介されました。

「問診」のポイントを歌にした「十問歌(じゅうもんか)」は、明代の医家「張景岳(ちょうけいがく)」が考えたものだそうです。

一問寒熱二問汗、三問頭身四問便、五問飲食六胸腹、七聾八渇倶當辨、九問舊病十問因

「一に寒熱、二に汗を問う。三に頭や体、四に便を問う。五に飲食、六に胸を問う。七に耳、八に口渇を問う。九に持病、十に病因を問う。」…という10個の質問にまとめられています。

例えば「寒熱」の項目について考えると、発熱と悪寒(さむけ)が同時に存在するか、一方のみ出現するかによって病邪が体表にあるか体内にあるかを判断します。また、手足のほてりや冷えなどの状況を聞き、病気が「寒証」に属するか、「熱証」に属するかを判断し、治療法を決め、処方を選ぶ…ということになります。

カゼに見られる「悪寒を伴う発熱」がある場合は、病気がまだ体表にあることを示しており、発汗させることにより、熱を鎮めることができます。

寒が原因の場合、「ゾクゾクと寒気がする」「発熱」「水のような鼻水や痰が出る」「頭痛がする」「関節や筋肉が痛む」などの症状が出ます。冷えが原因のカゼなので、温めながら発散解熱する「葛根湯(かっこんとう)」「麻黄湯(まおうとう)」「桂枝湯(けいしとう)」などをつかいます。

熱が原因の場合、「発熱」「のどが赤く腫れて痛む」「粘った痰や鼻汁が出る」「尿の色が濃い」などの症状が出ます。熱が原因のカゼなので、冷やしながら発散解熱する「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」「銀翹散(ぎんぎょうさん)」などをつかいます。

カゼをこじらせ、病邪が体表からやや奥に進み、「悪寒と発熱が交互に現れ」「口が苦い」「吐き気・食欲不振などの胃腸症状」を伴うようなときは「小柴胡湯(しょうさいことう)」が最適です。

さらに症状が悪化し、寒気がなくなり、「高熱(大熱)」「多量の発汗(大汗)」「冷たい水を多量に欲しがる(大渇)」となると「白虎湯(びゃっことう)」や「白虎加人参湯」が用いられます。

……。

仝先生は、現代ではこれに「睡眠」を加える方がいいとおっしゃいました。というのが「十問歌」ができた明の時代(1368年~1644年)は、暗くなると寝るのが普通だった時代…今のように遅くまで起きていることはなかったでしょう。規則正しい生活だったハズです…。

その他には「服用している薬の状況」、女性には必ず「月経について」、児童には「感染病」…。

現代において、重要な質問は「十問歌」の10個の質問だけでは足りない…と仝先生はおっしゃっていました。