こんにちは。

「湖北省中医医院」において、梅先生のお話を聴く機会に恵まれました。

人の疾病に対する抵抗能力は大きなものがあり、その力を引き出して治療する…というのが中医学の「不正祛邪」という考え方。

中医学で大切なのは、病気のタイプを見極めて治療方針を決める「弁証論治」と処方の選択。

例えば、同じ病気であってもその人の体質によって対応が違う…。

1つ目は「脾虚」…胃腸が弱く消化吸収が上手くできないタイプについて。

このタイプは「湿」が体に溜まりやすくなります。この「湿」というのは病理的に溜まった水分のことで、ヘドロのようなものと考えるとイメージしやすいかもしれません。

このタイプは「四君子湯」ベースの処方で対応するということでしたが、その程度に合わせて4つの処方を紹介されました。

実際にこれを判断するのが「症状」と「舌についた苔」…程度に合わせてで使用する処方が変わる…というわけです。病状が軽いのに強い薬を使ったら「人の正気(抵抗力)」を傷つける、逆に重いのに弱い薬を使ってもそれ程効果が望めない…と梅先生はおっしゃいます。

2つ目は、緻密な考え方。病状の変化が多い、人に個体差がある…細かい配慮が必要だとのこと。

梅先生は、婦人科の「慢性骨盤内炎症」を例に出してお話されました。

この病気、西洋医学では「炎症」としか見ていない、治療も抗生物質が投与され対応するようです。

一方、「慢性骨盤内炎症」の場合は痛みの症状を訴えることが多く、中医学の治療原則は「活血化瘀止痛」。この病気はすぐに治るものではなく、病気が長引き、生理や疲労によって症状が重くなる…という性質があるとのこと。

生理期、疲労は免疫力の低下…つまり「正気を消耗している状態」であるためで、この病気は「正気」と関わりが深く、原則である「活血化瘀止痛」に加えて「正気を補助」する必要があるわけです。

「正気を補助」するとは、具体的には「補気」「補血」「補腎」「補脾」ですが、個人個人で対応が違ってくるわけです。

「慢性骨盤内炎症」は代謝性の変化が見られ「おりものが多くなる…」ということから、「湿邪」との関係が大きいとのこと。この「湿」の性質は粘性でしつこい…という性格があります。そのため「湿を取り除くこと」に力を入れる必要があるとのこと。

また卵管の硬直で通りが悪い…ということも関係しているようです。

一般的な対応は「清熱解毒」ですが、寒涼の性質のものばかりで対応するのはダメで、「温通」「温化」することも考えていくべきとのこと。

梅先生は「決まっている考え方で対応すると、中医学のいいところは出ない…」「固定概念ではなく、病態は動いているので、変化できる自由自在の考え方が重要」とおっしゃいます。

今回のお話の中で「脾(胃腸)」が婦人科系の病気においても重要なポイントである…ということが分かりました。

梅先生、ありがとうございました。