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「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」は、もうすぐ発売されて30年になりますが、もともとは1970年代に、虚血性心疾患などの「冠心病(かんしんびょう)」の治療薬として、中国の国家プロジェクトにより開発された「冠心Ⅱ号方」を日本人向けに改良した中成薬(中国漢方)です。

血管拡張作用や血圧降下作用がある生薬を数種類配合したものですが、漢方医が臨床的に「良いものです」と言っただけでは普遍化できないため、西洋医学的な検証も行われました。漢方薬の良さを科学的に証明することが国家プロジェクトで行われ、ありとあらゆる研究がされました。本格的な中西医結合(中医学と西洋医学の良いところを組み合わせる)の初の試みだと言われています。

そして「老化抑制剤(特許第4440153号)」「糖尿病改善剤(特許第4633572号)」「脳虚血による学習・記憶障害改善剤(特許第46533572号)」「肝組織コレステロール改善剤(特許第4745989号)」「向精神剤(特許第4799434号)」「神経ペプチドW発現増強剤及び摂食抑制剤(特許第5462323号)」と6つの特許を取っています。

「冠元顆粒」は「丹参」「芍薬」「紅花」「川芎」「木香」「香附子」の6種類の生薬で構成されています。

丹参(たんじん):シソ科タンジンの根を乾燥したもの

<効能>末梢血管を拡張し、血圧を下降する。また強力な抗菌作用がある。臨床的には、鎮静・精神安定・鎮痛などの作用がある。

紅花(こうか):キク科ベニバナの花を乾燥したもの

<効能>少量では活血、多量で散瘀の効果があり、女性の経期腹痛、経閉、難産などに応用する。

川芎(せんきゅう):セリ科センキュウの根茎を乾燥したもの

<効能>鎮痛、鎮静、芳香性通経薬として、月経不順、頭痛、めまいなどに応用。「血中の気薬」として、活血方中配用で瘀血を取り除き、補血方中配用で気血をよく通す。

木香(もっこう):キク科インドモッコウの根を乾燥したもの

<効能>芳香性健胃、強心、去痰、利尿薬として、気管支喘息、胸腹脹痛、嘔吐、下痢、しぶり腹などに応用。理気薬として行気止痛に用い、抗菌作用もある。

芍薬(しゃくやく):ボタン科シャクヤクの根を乾燥したもの

<効能>外皮を除去したものを「白芍」、外皮をつけたものを「赤芍」という。「赤芍」は行瘀、止痛、涼血、消腫、活血、行滞の効があり、鎮静、鎮痛、解熱作用をもつ。行血理気剤とともに用いる。

香附子(こうぶし):カヤツリグサ科ハマスゲの球茎を乾燥したもの

<効能>理気止痛の効果があり、通経、浄血、鎮痛、芳香性健医薬として、月経不調、胸腹脹痛、神経性嘔吐、下痢などに応用。

「冠元顆粒」は先発品?

切れ味のいい「冠元顆粒」は、ここ15年くらい前から他のメーカーでもつくられるようになりました。ただ漢方薬の場合、まず原料の生薬の品質や生産地で切れ味が変わってきますし、抽出法によっても違います。同じ生薬を同じ量使っていたとしても、いわゆる一般の「ジェネリック医薬品(後発品)」以上に、漢方薬は効き目に違いがあることがあります。

「人は血管とともに老いる」と言われます。超高齢化社会で、血液・血管の健康はより一層重要になっていきます。微小循環改善は誰にでも必要となることは間違いありません。

適度な運動、バランスのいい食事など日々の養生が大切ですが、中成薬(中国漢方)、自然薬は健康で長生きをサポートできるものだと思います。