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1月20日は「大寒」でしたが、これから2月4日の「立春」までの期間が1年で最も寒さが厳しい季節だと言われています。

特に寒さ、乾燥の厳しいこの時期は、ウイルスが活動的になることで、カゼやインフルエンザが流行ります。そして、それが一旦落ち着くと、今度は花粉症が流行る傾向にあります。

一方は免疫の低下、もう一方は免疫の亢進ですが、どちらも中医学では「衛気(えき)」と呼ばれる「気」の不足から起こる…と考えています。

花粉やハウスダスト、細菌やウイルス、有害な化学物質、高低温や湿度、乾燥などの病気を引き起こす「外邪」から体を守る役目を果たすのが「衛気」です。「衛気」は、皮膚や気管支、鼻などの第一次防衛ラインである体表部をくまなく巡り、粘膜細胞を強化して防衛力を高め、バリアを張り巡らせる働きがあります。

アレルギー疾患だけでなく、カゼや慢性疲労、冷え症、肌荒れなども、第一次防衛ラインを守る「衛気」のパワー不足が原因となることがあります。

「衛気」のパワー不足が「軽度」では疲れやすい、息切れしやすい、咳き込むことが多い、冷房に弱いなど、「中度」では冷たい風に当たるとすぐに体調を壊す、汗をかきやすい、鼻づまりを起こしやすいなど、「重度」では花粉症、アレルギー体質、ジンマシンなど皮膚に炎症が出やすい…といった症状が見られます。

ストレスや睡眠不足、偏食など、エネルギーを消耗する生活を続けていると、この防衛力が低下して病気に対する抵抗力が落ちてしまい、カゼを引きやすくなったり、疲れやすくなったりします。

病気をもたらす「邪気」に負けない元気な体を作るためには、「衛気」をパワーアップすることが大切です。

中医学では体の細胞を元気にする働きを「補気」と言いますが、「二大補気薬」と呼ばれているのが「朝鮮人参」と「黄耆(おうぎ)」です。

同じ「補気薬」でも、活用の仕方に違いがあり、「朝鮮人参」は体内から元気づけ、「黄耆」は体表部や粘膜を強化し、免疫力を調整する働きがあります。外的刺激に弱い肌や粘膜を健康に保ちたいときは「黄耆」の出番。つまり「衛気」をパワーアップするには「黄耆」が適しているわけです。

さらに「黄耆」には、免疫力を高めるだけではなく、体の状態に応じて免疫の過剰反応を抑えてバランスを保つ働きも兼ね備えています。

「衛気」を補う「黄耆」を中心に、消化機能を高める「白朮(びゃくじゅつ)」、カゼの侵入を防いで「気」を巡らせる「防風(ぼうふう)」などを組み合わせた代表的な処方に「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」があります。

体の表面に屏風を立てて、外からの邪気を防ぐ効果があるというのが名前の由来で、日本では「衛益顆粒(えいきかりゅう)」という名前で販売されています。

「衛気」をパワーアップすることは、花粉症やカゼ、インフルエンザ、喘息などの予防に有効です。