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厚生労働省は13日、生薬の「サンシシ」と同含有製剤、同製剤の一般用医薬品など4品目について、添付文書の「使用上の注意」を改訂するよう製造販売業者に要請しました。

重篤な副作用の中に「腸間膜静脈硬化症」が追加されました。

「腸間膜静脈硬化症」は、腸間膜静脈の線維性肥厚・石灰化によって起こる虚血性大腸疾患。

「サンシシ」に含まれる「ゲニポシド」という成分が腸内でアミノ酸やタンパク質と反応して青色を呈するそうですが、これが腸の粘膜を着色し変化した結果、腸間膜静脈の線維化・石灰化を起こすと考えられています。「サンシシ」を5年以上の長期服用すると起こりやすくなるとの報告があり、症状としては腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感が繰り返しあらわれる場合がある…ようです。

中医師の見解では、「サンシシ」だけでなく「センナ」や「ダイオウ」などの瀉下剤にも似たような性質があると思われ、それでいくと「オウレン」「オウゴン」「ダイオウ」も同じ心配があるのでは…とのこと。これらの生薬には尿や便から毒素を出す性質があるのですが、これらの生薬には活血作用(血液サラサラ)があるものもあり、粘膜に色が付くことはあっても、その先の静脈硬化を引き起こす…というのがよく分からないところです。

「サンシシ(山梔子)」はクチナシの果実で、「性味:苦・寒」「帰経:心・肺・大腸」「効果:清熱解毒・涼血消腫・利胆明目・除煩利水」の生薬…黄連解毒湯、加味逍遙散、清上防風湯、茵蔯蒿湯などの漢方薬に含まれています。これを見ると、皮膚病でお馴染みの漢方薬も…。

ただその性質上、普通に考えてこれらの生薬が含まれる漢方薬は観察しながら、必要に応じて調整し使用するものであり、5年もの長期に渡り飲み続けることはないので、漢方をよく知らない人が出し続けた結果なのかな…と考えてしまいます。1990年代に騒がれた「小柴胡湯」による間質性肺炎の副作用問題と同じだと感じます。

中医師の見解でも、消化器系が弱い人、下痢を繰り返す人、虚弱体質の人には慎重に対応する必要はありますが、必要に応じて調整しながら使用すること、正しく使えば必要以上に心配することはない…ということでした。