こんにちは。

ボクたちは、体の内部に侵入しようとした外部の異物(花粉やウイルス)を撃退する防御反応が備わっています。

これが「免疫」というシステムですが、「免疫」は本来、生体にとってプラスの働きをするはずですが、場合によってマイナスの働きをして病気を起こしボクたちを苦しめます。これが「アレルギー」で、花粉症も免疫機能の過剰反応です。

①体の中に花粉が入り込む→②花粉を「異物」と認識し「抗体」をつくる→③花粉と接触するたびに「抗体」がどんどん増え、鼻や目の粘膜内にある肥満細胞と結合する→④肥満細胞が増えたところに再び花粉が侵入して抗体と結合すると、肥満細胞がヒスタミンなどを放出する→⑤放出された物質によってくしゃみや鼻水、鼻づまり、目の痒みなどが起こる

これが花粉症の起こる仕組みです。

中医学では外部の異物(花粉やウイルス)から身を守る力を「衛気(えき)」と言います。

「衛気」は体を守るバリアのようなもので、目や鼻・のどの粘膜や皮膚などに存在し、外敵の侵入を阻止しています。

花粉症、カゼを引きやすい、アレルギー性鼻炎などある人は「衛気不足(えきぶそく)」と考えます。「衛気」が弱いと外部の異物の侵入を簡単に許し、アレルギー反応を起こして花粉症の諸症状を引き起こします。

これを防ぐには「しっかりしたバリアを体の周りに巡らせること」です。

このバリア層の中には「IgA」という免疫タンパク質があり、花粉や病原体が粘膜組織に付着することを阻害し、体を守ってくれます。

粘膜バリア機能を高める代表的な生薬である「黄耆(おうぎ)」は、体を元気づける代表的な「補気薬」。抵抗力や免疫機能である「気」を高め、皮膚表面を巡っている「衛気(えき)」のチカラ…皮膚や粘膜を強化する働きに優れています。

この時季おススメの中成薬(中国漢方)に「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」があります。「黄耆」を中心に、消化機能を高める「白朮(びゃくじゅつ)」、カゼの侵入を防ぐ「防風(ぼうふう)」を組み合わせた処方で、「衛気」を高め、「IgA」を増やすことが分かっています。粘膜細胞をきちんと整えて正常なバリア層を形成し、花粉症やカゼを引きやすい体質を改善してくれるため、「根本治療(本治)」と位置付けています。

しかし、それでも辛い症状が出た場合、それらを改善させるための「対症療法(標治)」が必要です。ただその場合、今現在の症状を見極めることがポイントです。

表寒証(冷え)タイプ…「くしゃみ、透明な鼻水がズルズル、目やのどの症状はない」場合、体が冷えて水分代謝が低下していると考え、体を温めて余分な水分を取り除く方法をとります。「小青竜湯」や「麻黄附子細辛湯」が効くのはこのタイプです。

表熱証(熱)タイプ…「粘り気のある鼻水、鼻づまり、目の痒みや充血、のどの痛みなど」の場合、体の中に熱を帯びていると考え、体の熱を冷まし、水分代謝を改善する方法をとります。「天津感冒片」「涼解楽」「銀翹解毒散」「鼻淵丸」「駆風解毒湯」が効くのはこのタイプです。

「鼻水はサラサラだが鼻づまりもひどい、目やのどに痒みや痛みがある」など両方混ざっているタイプは、バランスをとりながら症状を抑える必要があります。

ひどくさせないためにも、花粉症は辛い症状を改善する「対症療法(標治)」と、ならない体をつくる「根本治療(本治)」を並行して行うことが大切だと考えます。