こんにちは。

中医学では、体を構成し、生命活動を維持するのに必要な物質と人体の抗病能力を「正気(免疫力)」、「正気」のバランスを乱し、病気にしてしまうものを「邪気(ウイルスや細菌など)」と呼んでいます。

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「正気」と「邪気」は力比べをしているわけです。

このため、病気になる原因には、「正気が弱すぎる場合」と「邪気が強すぎる場合」の2つのケースが考えられます。病気にならないためには、免疫力アップの「扶正(ふせい)」と、邪気を取り除く「祛邪(きょじゃ)」と、それぞれ方法があるわけです。

日本において、季節性のインフルエンザは冬に毎年流行します。通常、11月下旬から12月上旬頃に発生し、12月下旬に小さなピークがくることが多いです。学校が冬休みの間は小康状態で、翌年の1~3月頃にその数が増加しピークを迎え、その後収まるようです。

ご存知のように、インフルエンザはインフルエンザウイルス(邪気)による急性の感染症の一種です。高熱、筋肉痛などの症状があり、重症化することもあるため、すぐに「邪気」を取り除く「祛邪」の知恵がもっとも大切ですが、その代表的なものが「板藍根(ばんらんこん)」です。

また、この時期に増えるのが花粉症…。春先のアレルギー疾患の1つで、目や鼻の痒み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、喘息がひどく、咳が止まらなくなることもあります。主な原因は「粘膜の免疫力の異常反応」で、花粉などが粘膜に付くと、アレルギー反応として肥満細胞がヒスタミンを遊離し、花粉症の症状を引き起こすわけです。

中医学では、カゼやインフルエンザ、花粉症は「風邪(ふうじゃ)」がウイルスや花粉を運んで体に入り込むことが原因と考えています。

ウイルスや花粉の侵入を防ぐ役割をしているのが「衛気(えき)」という「正気」。「正気」は体表を巡り、体表の温度調節を務め、汗腺の調節、皮膚を充実させる働きもしています。

目には見えないけれど、体の表面(鼻やのどの粘膜、皮膚など)に存在する「衛気」は、人体の第一次防衛ラインであり、「衛気」を高めれば、ウイルスや花粉を寄せ付けない…「邪気」の侵入を水際で阻止することができるわけです。

五臓でいう「肺」と「脾」は、呼吸や栄養の吸収を通じて「気」を生み出す大切な臓器。これらの臓器が弱くなると「衛気」も不足がちになり、インフルエンザや花粉症にかかりやすく、かかってもひどくなりやすくなってしまいます…。不規則な生活や食生活の乱れ、運動不足、睡眠不足などは「衛気」は弱くなってしまい、この場合はバリアを強化するための「扶正」が必要です。

規則正しい生活を送ることが基本ですが、それでも難しい場合は「扶正」のための中成薬(中国漢方)や自然薬が力になってくれると思います。