こんにちは。

この季節になると、不安感や何となく憂欝な感じなど、精神的に不安定な症状が多くみられます。

春は自然界全てのものが新しく生まれ、伸びやかに成長する季節…植物🌼も動物🐿も春の陽気に誘われて、活動を開始します。

このように、春の陽気は体にエンジンをかけるような「気」を上昇させる性質があります。心躍る季節ではありますが、一方でこの時期に「気力」や「元気」が足りないと、活動的な状態に上手くシフトできず、逆にその変化がストレスになり、自律神経やホルモンバランスが崩れやすくなります。加えて、春は人間関係や環境の変化なども起きやすいので、心身のバランスを崩しやすくなります。

いわゆる「五月病」はこのようなストレスなどが原因とされていますが、実は水分代謝の乱れが要因になっていることもあります。

中医学では「肝の病は脾胃に及ぶ」と言います。たとえば精神的なストレスは「肝臓」の働きを緊張させ、その影響は胆汁を介して胃や十二指腸、膵臓などの「消化器系(脾胃)」に及びます。

「消化器系(脾胃)」の働きが弱っているとき、水分を取り過ぎたり、高い湿度やストレスを受けると、水分代謝が悪くなり体内に「病理的な水分(湿邪)」が溜まりやすくなります。これが長く停滞すると「熱」をもち、身体の各部に悪い影響を与えます。そして精神に及んだ場合、不眠やイライラ感、憂鬱感などの原因となるのです。

この「病理的な水分(湿邪)」が原因とする胃腸障害や精神症状に対して代表的な漢方薬が「温胆湯(うんたんとう)」です。

「温胆湯」は①悪夢で目が覚める、寝つきが悪い、起きてからも熟睡間がない、胃の不快感で目が覚めるなどの不眠②イライラ、不安、驚きやすい、ビクビクする、憂鬱、胸苦しい、頭痛、胸悶感により動悸・めまいを訴える③胸やけ、ムカムカ、口が粘る、口が苦い、食欲不振、胃内停水などの消化器症状…などに有効です。