こんにちは。

「皮膚は内臓の鏡」と言われます。

アトピー性皮膚炎の症状は個人によって様々です。発生や悪化のキッカケにも個人差があり、皮膚の状態だけを見て表面的な治療をしても、根本的な改善には繋がりにくいです。

中医学ではアトピーの症状は日々変化するものと捉え、季節や天候、ライフスタイルによる皮膚症状の変化に応じて体の中から整えていくオーダーメイドの治療を行っていきます。

典型的なアトピーの症状の経過は、急性期、再発を繰り返し全身に広がる混在期、皮膚が硬化する慢性期に分けられます。

この3つの段階を正確に把握することが治療の第一歩となります。

1:急性期(ジュクジュク期)

【症状】
皮膚が炎症を起こし、局部に黄色いカサブタ、ジュクジュク、赤いブツブツが見られます。肘や膝の内側や、首がジュクジュクし皮膚が厚くなってきます。イライラ・不安・不眠などの症状が出ることも…。

【対応】
皮膚の赤みの原因は「熱(ねつ)」。急性期は皮膚表面と体内の熱をまず取り除いていきます。引っかくと汁が出る場合は「湿(しつ)」(不要な水分)も溜まっています。このような湿熱血熱(しつねつけつねつ)タイプには清熱利湿(せいねつりしつ)、涼血(りょうけつ)の作用のある漢方薬を使います。

2:混在期(赤みのあるゴワゴワ期)

【症状】
赤あるいは紫色でゴワゴワ、カサカサ、亀裂のある肌の状態。痒みが激しく、掻き毟ると出血することもあります。ほかに、口渇、便秘、イライラ、不眠に加え、のぼせや寝汗などが出ることも…。

【対応】
慢性炎症症状を抑えるため、体内にこもった「熱」を取り、皮膚に潤いを与えます。このような血熱風燥(けつねつふうそう)タイプには清熱涼血(せいねつりょうけつ)に加え、潤燥(じゅんそう)、止痒(しよう)の作用のある漢方薬を用います。のぼせ・ほてりには養陰生津(よういんしょうしん)の漢方薬も。

3:慢性期(カサカサ・ゴワゴワ期)

【症状】
赤みのないゴワゴワ、カサカサ、フケのように皮がむけます。また、痒みが強く、掻き壊し、サメ肌のようになっていきます。睡眠が不安定。食欲がない、軟便傾向、やせタイプなど…。

【対応】
体内にこもったわずかな熱を取りながら、肌のバリア機能を修復し、皮膚を潤すことで痒みを抑えます。また、低下した内臓機能を回復させ、潤いを取り戻します。このような血虚風燥(けっきょふうそう)タイプには、養血袪風(ようけつきょふう)、潤燥(じゅんそう)、止痒(しよう)作用のある漢方薬を使います。

アトピー性皮膚炎の症状は落ち着いているように見えても簡単に再発するため、長期的なケアが必要です。大切なのは、再発しない肌を作り、維持していくことです。