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ストレスと腸内環境と漢方薬の効き目

こんにちは。

博多の日航ホテルで「ワタナベオイスターセミナー」があり、出席してきました。

今回の内容は、「ストレスと腸内環境と漢方薬の効き目」でした。

毎回、セミナーでは100ページを超える資料が用意されていて、内容はテーマによって少し変わります。ほとんどが実験データや論文などです。

今回、その中に福山大学薬学部 漢方薬学解析研究室の「漢方薬の科学的解析」という論文がありました。「漢方薬がどうやって効くのか」というものですが、この論文はボクの叔父の研究室のものだそうです。

内容としては、

“漢方薬に豊富に含まれている配糖体は、β-グルコシド結合のため消化酵素の代謝を受けず消化管下部に到達し、親水性が高く吸収されにくいため腸管内に長く滞留します。ほとんどの腸内細菌は炭水化物をエネルギー源としており、配糖体は腸内細菌の産生する酵素によって加水分解を受け、脂溶性の高いアグリコン(非糖部)として吸収されるプロドラッグであると言われています。腸内細菌叢は、食事や年齢などに影響を受け、個人差だけでなく、その人自身のなかでも変動することが知られています。同じ薬剤でも患者さんによって応答性は様々で、効果を示す人(レスポンダー)と効果を示さない人(ノンレスポンダー)がいます。漢方薬は患者の体質や症状に対応して使い分けられており、その診断基準となるものが漢方医学の基本概念である「証」です。現代流に言い換えると、証とはレスポンダーとノンレスポンダーを見極めるための指針ということになります。…”

つまり「漢方薬成分の腸内代謝が証に反映している…」ということなのですが、天然のプロドラッグである漢方薬が腸内細菌の働きで糖部が切り離され、血液中に入り、薬効を発揮する…というもので、腸内環境が漢方薬の効き目に影響を与えている…ということが読み取れます。

また、「ノンレスポンダーのラットを絶食させたらレスポンダー化した」という実験から、漢方薬は空腹時…つまり食前、食間に服用することが理にかなっている…ということも書いてありました。

そんな大切な腸内環境ですが、食事の影響だけでなく「ストレス」にも影響を受けるそうです。「ストレス」は悪玉菌を増加させるのだそうですが、一方で悪玉菌の出す毒素(LPS)がHPA系(視床下部-脳下垂体-副腎皮質系)に作用し、ストレスホルモンである「コルチゾール」を分泌させるのだとか…。「コルチゾール」の増加はうつ状態や精神疲労を引き起こすことが知られています。

また、「コルチゾール」は粘膜免疫系 Th 1/Th 2 バランスを Th 2 反応に移行させ肥満細胞を増加させ、アレルギーを起こしやすい状態に体が傾きます。そして、視床下部から放出される、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)が肥満細胞の脱顆粒を起こし、それが腸管の透過性を上昇させ、多くの抗原やアレルゲンが侵入し炎症状態が悪化する…。これが「過敏性腸症候群(IBS)」の脳腸相関における認知的要因であるというものですが、これは「腸管壁浸漏症候群(リーキーガット症候群)」にもつながっているように思います。

「ストレス」を受けると腸内環境が悪化、逆に腸内環境が悪いとストレスホルモンが増える…。これが双方向の脳と腸の関係(脳腸相関)であり、腸は「第二の脳」と言われる所以なのだと思います。さらには漢方薬の効き目を左右することにも…。

今回は大変興味深い内容のセミナーでした。

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