こんにちは。

ボクたちは、人生の1/3を寝て過ごしていますが、それは睡眠が大事な時間だからです。

あなたが眠てる間に…

医学的には睡眠はただの休息ではなく、体のメンテナンスの時間。体のメンテナンスは夜間作業に行われ、免疫力・治癒力は睡眠中に作られます。眠っている間に成長ホルモンが盛んに分泌されたり、記憶の整理や定着などにも。

さらに睡眠が「脳のゴミ掃除の時間」ということが分かっています。

睡眠は「脳のゴミ掃除の時間」

不眠で困るのは、翌日の眠気や集中力の低下だけではなく、睡眠は心身の健康を保つための生体防御システムであり、更に老廃物(ゴミ)の排泄にも関わっていることだからです。老廃物(ゴミ)の中には危険なものが…。アミロイドβはアルツハイマー病の原因として注目されていますが、もし不眠が続けば、脳の外にゴミが排泄されなくなり、脳の細胞や血管にも悪い影響を与えてしまいます。

従って、慢性的な不眠のある人は、良く眠れる人と比べ、うつ病、糖尿病、認知症になるリスクが何倍も高くなってしまうわけです。

自然のリズムに耳を傾けて

昔の人は「夜暗くなったら眠り、朝太陽の光とともに起きる」という生活を繰り返してきました。そうした自然のリズムが、ボクたちにとっては無理のない生き方なのかもしれませんが、仕事や家族のスケジュールなどで、なかなか「早く寝る」というのは難しいという人もいらっしゃると思います。

「22時から2時」の時間帯を、可能な限り睡眠時間に充てることを目標に、毎日の生活を見直してみてはいかがでしょうか。残った家事や仕事は、思い切って翌朝に回す…。これを機に朝型に切り替えてみるのも良いと思います。

朝は太陽の光に当たり、軽く運動するようにして体を目覚めさせるように。昼間活発に活動し、夜は眠るという自然のリズムを体の中に取り入れることから始めてみます。

そして、夕方以降のカフェイン摂取は控えめに。アルコールは適量を。飲み過ぎはかえって眠りを浅くしてしまいます。

寝る前のスマートフォンも注意です。スマートフォンから発せられる「ブルーライト」は、眼精疲労だけでなく、体内リズムの乱れを引き起こす要因となり、睡眠時間や睡眠の質や量に影響があるそうです。

眠りにつく時間を決めて、目覚まし時計の設定を毎日少しずつずらしてみましょう。どの時間帯がスッキリ目覚めることができたかを知り、自分なりの快眠リズムをつかみましょう。

睡眠薬について

我が国の約20人に1人が使用しているとされる睡眠薬…。その中でも一番多く使われている「ベンゾジアゼピン系」が、「特に慎重に使うべき薬」として挙げられています。

高齢者の場合、飲んだ直後や夜中に目を覚ましてトイレに行くときなど、ふらついて転倒しやすくなる…というものや、物事を判断したり、記憶する認知機能が低下する…ことがあるようです。そして、長年この薬を使用していると認知症の危険性がわずかに高まる…と書いてあります。

「非ベンゾジアゼピン系」でも、ふらつき・転倒のリスクが起こりやすくなるため、使用は少量にとどめ、長期使用は避けるように…とあります。

心の変化は体の変化を引き起こし、体の変化は心の変化も引き起こす

上手にコントロールが出来ている場合には睡眠薬は便利なものだと思いますが、「睡眠薬は習慣になるのが怖いし、頭がボーっとするので飲みたくない…」そんな方におススメしたいのが「安神薬(あんじんやく)」と呼ばれる、いわゆる漢方の睡眠薬です。

安神薬の「神」とは精神のことを指します。つまり、安神薬というのは、精神安定作用のある薬のこと。ボクたちのような現代人の不眠の主な原因というのは、何といっても過度のストレスの積み重ね…。精神を安定させることによって、「心地良い」「深い」眠りを取り戻そう…というのが中医学的な発想です。

中医学では、五臓六腑の中の心(しん)を神(精神)の宿る臓器と捉えていて、心の神、つまり精神の安定(安神)こそ入眠・熟睡の条件としています。

中医学で考える不眠のタイプ

・ストレスがたまって心身が疲れる、かえって興奮して眠れなくなる不眠に
ポイントとしては、寝つきが悪い、眠りが浅い、夢をよく見る、イライラする、心臓がドキドキする、のぼせる…などの症状があります。代表的な漢方薬は「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」「シベリア人参」です。

・暴飲暴食タイプ、水分代謝低下タイプの不眠に
ポイントとしては、お酒やしつこい食べ物が好き、舌に黄色い苔がベッタリついている、胸のもたれ、吐き気、めまい、頭が重くつまった感じがする、精神安定剤を長くのんでいる…などがあります。代表的な漢方薬は「温胆湯(うんたんとう)」です。

・胃腸が弱いタイプの不眠に
ポイントとしては、食欲不振、軟便、疲労倦怠感、アザができやすい、低血圧、貧血、生理不順、皮膚がカサカサしている…などの症状があります。代表的な漢方薬は「心脾顆粒(しんぴかりゅう)」「帰脾湯(きひとう)」です。

・体液不足タイプの不眠に
ポイントとしては、血圧が高め、動悸、不安感がある、舌の先が赤い、足・腰がダルい、のぼせ、手足がほてる、のどが乾く、寝汗をかきやすい…などの症状があります。代表的な漢方薬は「天王補心丹(てんのうほしんたん)」です。

・精神ストレスなどによって生じるイライラ、興奮のタイプの不眠に
ポイントとしては、イライラが強い、血圧が高め、不安感がある…などの症状があります。代表的な漢方薬は「ミンハオ」「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」です。

それぞれタイプにより適した漢方薬も違ってきますが、これらのタイプも複雑に絡み合っているケースもあるため、これらを併用する場合もあります。