こんにちは。

現在の日本の医療は、西洋医学が中心です。しかし、最近では、中医学のデータは、西洋医学でも裏付けられつつあります。

中医学と西洋医学は、歴史が違います。

現在、中国の病院や薬局で行われている伝統医学は「中医学」と言われていますが、そのルーツは、今から約2000年前に著されたとされる「黄帝内経・素問・霊枢」であるとされています。ちなみに、現存する中国最古の医学書でもあります。

「黄帝内経・素問」は基礎理論を述べているのですが、その内容は精緻で今日でも十分に臨床に役立つばかりでなく、西洋医学がよりどころにしている解剖学からは恐らく未来永劫に知ることはないだろうと考えられる知識が多く含まれています。

例えば、内臓と感覚器官の関係。「肝は目に竅(通じる穴)を開く、腎は耳に竅を開く」と記載されていますが、これは「肝は目を養い、腎は耳を養う」という関係を述べたもので、経験の累積と研ぎ澄まされた感性によって得られた知識、感覚器官と内臓の連携に関する知識です。

実際にこの関係を応用して、肝の働きを高め目に栄養を与える「杞菊地黄丸」、腎を強めて聴力を守る「耳鳴丸」などの処方が作られています。

ちなみに、テレビCMでもお馴染み「女性の体は7年周期で変化する」という説も、出どころは「黄帝内経・素問」です。

このような成果は、おそらく解剖学(死亡した動物を対象としている)によらず、あくまでも生きた人間の生理機能を追求した、古代中国人の知識と考察の賜物だと思います。

この解剖に基づくか、生理学に基づくかの違いが、大きな違いと言えると思います。このような中医学に対し、現在の主流である西洋医学の歴史は、新しいものなのです。

ですから、中医学の観点から、予防できるものは未然に防ぎ、防げなかったものは西洋医学の観点から治療する…というように、うまく使い分けるのが賢い方法だと思います。