こんにちは。

老化のカギを握ると言われているのが「酸化」「糖化」「炎症」。

その中の「炎症」についてです。

「炎症」には、「急性炎症」と「慢性炎症」があります。

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「急性炎症」は、感染や外傷で起こるもので、発熱、発赤、疼痛、腫脹などの症状としてあらわれます。「生体の恒常性」により収束・消退する…「可逆的な炎症反応」のことで、元に戻る炎症ということです。

それに対し、「慢性炎症」は「不可逆的な炎症反応」…病的な炎症であり、元には戻らない炎症であるそうです。

最近では、この「慢性炎症」こそが「万病の根底」であると考えられています。さらに、「慢性炎症」は加齢とも関わりがあるとも…。

また、うつ病の「セロトニン説」も、最近「炎症説」という新しい説も取り上げられていて、「慢性炎症」が「万病の元」として注目されてきています。

高齢者では、炎症のマーカー(CRP、IL-6、TNF-αなど)の値が高くなる傾向にあり、これらのマーカーの値と心血管系のリスクの死亡率が比例する傾向にあるとのこと。

大規模なコホート研究(100歳以上対象)では、炎症マーカーが高い人たちに比べて炎症マーカーが低い人たちは、余命が長い傾向があるだけでなく、生活機能や認知機能が高かったとのこと。一連の研究から、「慢性炎症」があると老化が進んで寿命が縮まり、逆に「慢性炎症」が少ない人は長寿の傾向があることが明らかになってきています。実際に、高齢で有名な双子の「きんさん・ぎんさん」の「慢性炎症」を示す炎症マーカーは「0」に近かったそうです。

この「慢性炎症」は免疫が関係していることも分かってきています。

そんな「慢性炎症」が増えている原因として、現代人の生活にあると言われています。

人類の歴史は、24時間のうち23時間59分59秒が飢餓との戦いの歴史…。ボクたちの体は飢えを回避するシステムは構築されてきたのですが、エネルギー過剰に対する対策はないため、時代の変化に人間の進化が追い付いていかなかった…と。

食品添加物をはじめとする化学物質、PM2.5を代表とする大気汚染、ファストフードのような高脂肪食など…。これらが体の中に入ることで、免疫システムがそれを異物として捉え暴走し「炎症」を引き起こすのだとか。

加えて、ストレス、睡眠不足、暴飲暴食、運動不足なども「炎症」を起こしがちな生活です。

「慢性炎症」により活性酸素が大量に発生、細菌やウイルスを無害化する一方、過剰になると細胞自体を傷つけ、更なる「炎症」へ。これが「慢性炎症」が増加している原因と言われています。そして「慢性炎症」の先に生活習慣病、アレルギー、ガン、自己免疫疾患、神経疾患などの病気がある。

「慢性炎症」にどう対応していくかがカギとなるわけです。

西洋医学の世界では、EPAやDHAの代謝物には「炎症」を抑制する働きがある …ということで、EPAやDHAが慢性炎症に推奨されています。

EPAやDHAは魚の油などに含まれる脂質で、「オメガ3系」と呼ばれます。「オメガ3系」の油には、炎症症状を抑える働きがあることが分かっていますが、西洋医学で「慢性炎症」に対応する場合は現時点ではEPA、DHAしかないようです。

それから考えると、中医学の方が対応がより幅広く、この分野において進んでいるように感じます。

加えて、原因となるストレス、睡眠不足、暴飲暴食、運動不足なども「炎症」を起こしがちな生活、食事や睡眠を改善していかなければ、やはり片手落ちになってしまうのではないでしょうか。