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世界中医薬学会連合会 アジア太平洋地域中医薬サミット

こんにちは。

700名近い参加者で会場はこんな感じです。左のスクリーンは「日本語対応」、右のスクリーンは「中国語対応」となっているので、左寄りの席に座って聴いていました。

国医大師・天津市中医薬研究院・教授、張 大寧先生による「新時代における中医役の役割-“補腎活血”の応用を中心に」。国医大師とは、中医学の人間国宝のような存在。傷寒論、金匱要略の時代は、漢方薬しかなかったが、今は現代医学は科学技術の進歩により発展し、今では現代医学を超える「有効性」が期待され、求められています。中医学の利点は、有効性、正しく使用すれば副作用がない/低い、「有効性」が現れる速度、治療方法が簡単、経済的であることです。数千年の歴史のある中医学が現代まで続くのはやはり「有効」だからです。その一つの特徴が「腎虚血瘀論」と「補腎活血法」。「腎虚血瘀」は各種類の慢性疾患の病理基礎であるというもので、その治療原則「補腎活血」は100種類以上の疾病の治療に有効性が確認されたのだとか。この「補腎活血」により健康長寿が期待できるということ、慢性腎臓疾患(早期中期)にも「補腎活血」で84.4%の有効率を示したそうです。「補腎活血法」の治療で、子宮体濾過膜の硬化、間質線維化、尿細管の萎縮、血管狭窄の改善効果も確認されたそうです。「補腎活血」で腰痛、薄毛、歯脱落、健忘、夜尿・頻尿、ED、便溏、浮腫、刺痛固定、腫塊、鮫肌・肝斑、虹彩混濁、紫紺、月経黒塊、舌紫暗瘀斑などに有効であり、予防養生、健康長寿の基本治則だということです。

広東省中医病院・教授、陳 達燦先生による「アトピー性皮膚炎の中医学診療及び研究」。アトピー性皮膚炎の概説、治療目標及び関連問題、アトピー性皮膚炎において中医学的な認識、中医治療の実践と考察、中医治療の研究についてお話しされました。アトピー性皮膚炎は、環境、皮膚バリア、微生物定着、アレルゲン、免疫のアンバランスなどが原因となり発症し、乳幼児期、児童期、青年期と成人期の三段階で異なる皮疹の症状を示します。症状のコントロール、再発を減らす・遅らせる、QOLを改善することを目標とし、炎症と感染をコントロール、皮膚バリアを修復、誘発素因を避けることが治療原則となります。陳先生は、よくみられる証(タイプ)と、それに対する漢方薬の紹介、外用、鍼治療についてお話しされました。アトピー性皮膚炎の発作期と緩解期には境目がないが、発作期は「心火偏勝」、緩解期は「脾虚主導」がメインに(培土清火法)。この培土清火法は実験でステロイド剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤などの西洋医学治療と比べ、全体治療効果が優れていた…という実験も紹介されていました。

山東中医大学・教授、連 方先生による「胚移植反復着床障害に対する中医学の治療方策」。反復胚移植失敗(RIF)の原因として、配偶子と受精卵の質、子宮と卵管素因、免疫素因、神経素因があり、その治療として、卵の質を高める、IMSI(卵母細胞漿の中に形態良好の精子を注入する)、子宮内膜の受容性を改善する、原発疾患を治療する、子宮腔の治療が。月経周期の何日目かで治療原則、方薬が細かく違うようです。病因に合わせて異なる治療プランを考え、生殖補助医療(ART)において中医薬の応用がますます盛んになっています。「少子高齢化社会」に、中医学が更に脚光を浴びることを信じますと締めくくられました。

東京有明大学・教授、川島 朗先生/南京中医薬大学・教授、談 勇先生/富山大学大学院理工学研究・部特別研究員、横澤 隆子先生/イスクラ産業株式会社、陳 志清先生による「活血化瘀の意義と臨床応用」。

中医学の「瘀血」の概念は、「不通則痛」「離経の血」「宿血(古い血)・死血」「因病致瘀・久病必瘀」「因瘀致病・久瘀必病」というのがあります。特に女性に「瘀血」が多い。生理不順、月経不順、排卵障害、卵管閉塞、子宮筋腫、子宮内膜症、習慣性流産など、「瘀血」と関連する婦人科トラブルがありますし、「瘀血」によって卵巣の血液供給が不足すると卵巣機能が低下し、早衰(老化)や免疫機能異常にもつながると言われます。「瘀血」を改善する意義として、血液をキレイにする、血流(微小循環)を改善することにより、宿血・悪血を取り除く、フリーラジカル・活性酸素やAEGsなどを除去、卵巣や子宮などの臓腑の血流が良くなり機能が強くなる…。それにより、鎮痛、調経(月経周期を調える)、排卵促進、卵管と子宮内膜の機能の改善、保胎(流産防止)、抗老化、卵巣機能の改善、免疫機能を整える…ことが期待できます。(談先生)

今の日本の医療を取り巻く問題として、高齢化→医療費の増大→財政悪化→自己負担額の増大となってきている。2015年の国民医療費は42.4兆円で、65歳以上の比率が30.5%になる2025年には52.3兆円に達すると予想されます。赤字国債は平成初期で250兆円、現在は1000兆円を超え、さらに増え続けており、常識で考えれば日本はつぶれてしまいます。医療費の高騰は世界的な問題であり、西洋医学的な対処療法にも限界がきています。一方で、食事の乱れ(農薬、保存料、添加物など)、ストレス、環境悪化などが問題となっている。予防医学に対する関心が高まっており、治療→予防へとシフトする必要があります。国は予防を掲げているが、それは病気の知識と反省、早期発見・早期治療であり、あくまでも「2次予防」。気付き、心身の基礎作り、環境整備、衣食住に力を入れた「1次予防」をしっかり行っていかないとダメなわけです。それは中医学が得意とするところ。自覚症状はあるが検査値の異常がない状態を「未病」と言いますが、循環障害により「酸素や栄養素や白血球が届きにくい」「有害物質がたまる」「酵素反応が鈍くなる」ことにより、生活習慣病やガン、うつ、認知症などの発症につながると考えられます。(川島先生)

「瘀血」と関わりの深い病気として、慢性腎炎、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などがあります。これらをターゲットにした治療薬の研究を行い、1980年代から慢性疾患の治療薬を漢方・和漢に求め研究をされてこられました。当時、腎疾患に関する研究はほとんどされていなかったが、モデルマウスの開発がすすみ研究を行うことができ、新しいクレアチニン代謝経路を発見されました。クレアチニンは最終産物とされているが、さらに先の経路を発見し、クレアチニンが最終産物ではないことが分かったそうです。クレアチニンがさらに変化していくにあたり、フリーラジカルが関与していることが明らかになったそう。その中の「丹参」に注目、その中の「リソスペルミン酸Bマグネシウム塩」が腎機能を上げ、尿毒症毒素を下げる働きに加え、皮膚のシワに対しても効果があることが分かり報告済み。これまでの経験から「丹参」単味よりも複合製剤の方が効果化が良く、複合製剤を調べていった結果、「冠元顆粒」に出会ったそうです。「冠元顆粒」の研究内容として「微小循環障害」「高血圧・脳卒中」「老化・糖尿病・慢性腎臓病」「認知症」。老化には色々な説があるが、最近ではフリーラジカル説がある。実験により、「冠元顆粒」による活性酸素・フリーラジカル抑制作用が認められたそうです。「瘀血」のキーワードは毛細血管であり、その血流障害を最も早く注目したのが「中医学」、太い血管に異常が起こって対処したのでは手遅れであること、血液の循環を良好に保つことこそ、生活習慣の改善につながり、それは未病先防(病気になる前に予防する)の精神ですとのこと。(横澤先生)

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