こんにちは。

「〇〇を食べれば健康になれる」…ボクたちの周りには健康に関する情報があふれています。

ボクは中医学を勉強しているので、中医学の考え方をベースとしています。成分ではなく、食材全体で考えるわけです。食材の温める性質、冷やす性質(四気)や酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(塩辛い)など(五味)で考えたりもします。「酸味は出過ぎを収め、渋らせ、虚汗や下痢を止める」「苦味はよく瀉下し、湿を乾かし、熱を鎮め、消炎する」「甘味は気や血を補って体を補養し、緊張を緩め、痛みをとる」「辛味は体を温め、発散させ、気や血を巡らす」「鹹味はしこりを軟らかくして潤し、宿便を軟らかくして下す」といった考えがあり、食材の味や色を重んじます。

五行学説で考えると、「春=肝」「夏=心」「長夏=脾」「秋=肺」「冬=腎」が季節に従うものとし、その時季の食がそれぞれの活動を補うもの。なので、「春=青・酸っぱいもの」「夏=赤・苦いもの」「長夏=黄・甘いもの」「秋=白・辛いもの」「冬=黒・塩辛いもの」を食べるとよいと考えますし、基本的に「その土地のもの(身土不二)」「旬のもの」は体にいいと思っています。

加えて、食べ方や食べる量、食べる時間なども大事だと考えます。水でも薬にもなるし毒にもなるからです。偏らず、何事もバランスが大切と思います。

ただそれを踏まえた上で「ボクたちが信じている健康情報は本当に正しいのか…」と考えることもあります。基本的に「和食はいいが食塩は?」という問題もありあがっていたので、最新の膨大な研究論文をもとに、科学的根拠に裏付けされたとある「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」という1冊の本に目が留まりました。

数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、ガンなどのリスクを下げる)と現在考えられている食事は、①魚 ②野菜と果物(フルーツジュース、ジャガイモは含まない) ③茶色い炭水化物 ④オリーブオイル ⑤ナッツ類の5つ。

逆に、健康に悪いと考えられているのは、①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い) ②白い炭水化物 ③バターなどの飽和脂肪酸の3つ。

「茶色い炭水化物」とは玄米、ソバ、全粒粉を使った茶色いパンなどの精製されてない炭水化物。「白い炭水化物」とは白米、うどん、パスタ、小麦粉を使った白いパンなど精製された炭水化物。日常では「炭水化物=糖質」のように使われていますが、厳密には「炭水化物=糖質+食物繊維」という式になります。じゃがいもは野菜ではなく「白い炭水化物」となるそう。

例えば、果物は「果糖」を多く含み、「果糖」は血糖値を上げる。実際に果物の中の「果糖」を抽出して摂取すれば血糖値はすごく上がるものの、果物を丸ごと食べれば血糖値はそれほど上がらない…。それでいうと、100%のフルーツジュースを多く飲んでいる人ほど糖尿病のリスクが高い一方で、果物の摂取量が多い人ほど糖尿病のリスクは低い…ということが言えるのだとか。健康に対する影響が180度異なるということが分かります。

食べるものを考えるとき、肉や野菜といった「食品」と、リコピンや糖分といった「成分」の2つがあるけれど、「食品」が重要であるのであって、「成分」はあまり重要ではない…とのこと。

健康に良い5つを中心とした食事は、実は地中海沿岸の食生活である「地中海食」。世界には数多くの食文化がありますが、健康に良いという地位が最も確立しているのが「地中海食」なのだとか。地中海食=オリーブオイル+ナッツ類+魚+野菜・果物。

2013年に日本食がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本食の魅力が世界中に注目されました。ボクも含めて、多くの人が日本食は健康的であるというイメージですが、魚や野菜を多く摂取しているという点では日本食は優れているけれど、「炭水化物が多い」「塩分摂取量が多い」という2つの問題点があるのだとか。

「白米と砂糖はほぼ同じ」「塩分摂取量が多いと血圧が高くなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇する」。日本食の定番、白いご飯とみそ汁は、玄米に変えてみる、野菜や海藻タップリの具だくさんのみそ汁で、汁少なめに…と。ボク自身は玄米を食べているのですが、みそ汁は2杯飲むので、そこの量を減らす必要があるのかな…。また、漬け物なども塩分が。

「体に良くない」と説明されてはいるけれど、「食べるべきではない」と主張されているわけではありません。その食事によって得られるメリットとデメリットを十分理解した上で、何を選択すべきか…とあります。食べる食品を「置き換える」ことが効果的なわけです。

ここでは中医学で考える「食養生」とは違うように思いましたが、幸福度と健康を天秤にかけ、合理的に判断することがボクたちに必要なことなのかもしれません。