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「先天の精」腎について

こんにちは。

博多で日本中医薬研究会・イスクラ産業共催の2019年度「先天の精」勉強会があり参加してきました。大阪・漢方マルヘイ薬局/丸山先生と東海・よいち漢方薬局/小林先生の2名を講師に迎えるということで、非常に楽しみにしてきました。

丸山先生と小林先生、お二人で入れ替わりながら交互にお話されました。その中で、ボクが印象に残たことをまとめてみました。

有精卵と無精卵

「腎」は精を蔵し、「精」の減少が「老化」。「有精卵」と「無精卵」の違い、成分的に分析すると違いはないだろうが、方や「有精卵」は 20日温めると孵化するが🐤、「無精卵」は腐る。「精」とは「命の根源」である。

五遅は「先天の精」不足

「先天の精」が不足、つまり両親の「精」に問題があると、五遅(立つのが遅い、歩くのが遅い、頭髪が生えるのが遅い、歯が生えるのが遅い、しゃべるのが遅い)の原因となる。成長期にも「先天の精」を補うのはこのときだけ。

そうでなければ、この世に生まれた後は「食べ物」を食べて「脾胃(胃腸)」の働きによって「血」と「精(後天の精)」が作られつつ、体が成長していくので、「脾胃」を中心に考えるべき。「五遅」ではないにしても、両親がアレルギー体質など、遺伝的な問題などは「先天の精」不足と考えられるが、食事に問題なければ、「先天の精」を「後天の精」がカバーできる。

小児の特徴「三有余四不足」

子どもの成長過程において、五臓六腑や気血水などがバランスを欠きやすく、このことがアレルギー性疾患などの発症に関わっている。小児の特徴は「三有余四不足」。「陽」「心」「肝」は常に余り、「陰」「脾」「肺」「腎」は常に不足の状態のことを言う。例えば「脾」「肺」「腎」の疾患であるアレルギー性の鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などの、適正な環境や食事のもとでは、成長していく過程で「四不足」が解消され自然治癒するとされている。少し前までは病名の前に「小児」とついていたが、最近では「小児」が取れ、範囲が広がっているようです。

また「三有余」はADHD(注意欠陥・多動性障害)などの病態につながる。「1日3時間スマホ」は「ADHDになりやすさ5倍」という報告もあり、これからどんどん増えることが予測される。

いずれにしても、「三有余四不足」の解消のカギを握っているのは「後天の本」である「脾」であるが、現代の食事はメチャクチャなので、これは大きな問題。

初潮年齢を比べると

女子は二七(2×7=14歳)、男子は二八(2×8=16歳)で生殖能力を獲得する。第二次性徴の発現には「精」の充実が不可欠であり、発現年齢が高いことは、「先天の精」不足か、「後天の精」不足…すなわち、「脾胃」か食事かのどちらかに問題がある。例えば、同じ不妊で悩む35歳の女性がいたとして、方や12~13歳で初潮が来た人と、18歳で初潮が来た人の場合、18歳の人の方が深刻だとのこと。

ただし、現代の食事において、外国産のホルモン剤を投与されて成長した「鶏肉」🐓などを多食することで「精」が攪乱され、初潮年齢が早まることが知られている。人並みだからといっても参考にならないばかりか、異常な低年齢化などのケースではむしろ「精」の減少は進むと考えられる。お店で見かける「〇〇チキン」など、食べ過ぎないように。

養生七分、治三分

「精」の減少につながることは、夜更かし(睡眠不足)、食の不摂生。養生が七割で治療が三割、養生が無茶苦茶で漢方などを服用しても効果が出にくい。

夜更かし、不眠はノンレム睡眠時の成長ホルモン分泌に悪影響を及ぼす。成長ホルモンはノンレム睡眠時に分泌され、23時~1時の間が最もよく分泌される。

成長ホルモンの役割

  1. タンパク合成を刺激して、筋肉量を増加させ、体脂肪を減らす
  2. 皮膚のハリ、厚さ、弾力性がよみがえる(シワが減る)
  3. 髪の毛が黒くなったり、生える
  4. 骨密度の増加
  5. 運動能力、持久力の向上
  6. 心肺機能の向上
  7. 免疫能の向上
  8. 腎機能の改善
  9. 傷の治りが早くなる
  10. 基礎代謝能が上がる
  11. コレステロール値を下げる
  12. 内分泌腺に影響を与えたり、成長を促進する
  13. 性機能の向上

養生の道は「脾胃」を調えることが「要」

日本人の「食」の問題点、「脾虚」を招いている原因に、①西洋化 ②生冷過食 ③微量ミネラル ④化学物質 ⑤ストレス ⑥噛まない がある。

日本人は平安時代から牛や馬などの肉を食べることを禁止されていて、30世代くらい食べてない。1970年代から一般的に食べられるようになるが、これらは栄養があるが胃腸に負担となり、吸収されない。ここ2~3世代で肉を食べるようになるが、急には対応できず負担になり吸収できない。

腎は水液を主る

体液の代謝全般に関して、副腎皮質の「コルチコステロイド」や、下垂体後葉ホルモンの「バソプレッシン」などによる水分再吸収の過程が調整される。「バソプレッシン」などホルモン系が低下している人は、昼と夜の尿量が同じ 。

腎は納気を主る

呼吸機能、特に吸気が腎と関連することを示す。「細胞内呼吸に関するミトコンドリアによる酸素の代謝に関与すること」だと考えると理解できるようになった。腎の母である肺との関連で考えると遺伝子レベルでの関与しているのではないかと。

ふらつき、立ちくらみ、真っすぐ歩けない、強い倦怠感、眠くてたまらない…という78歳の女性。3年くらい前から体調不良が始まり、それまでに肺や心臓などの検査(心カテも含め)を行うが異常な所見はみられず、私立の大学病院も含め5件の病院で診察を受けるが異常はみられず、心療内科を紹介されたそうです。検査では異常はないけれど、動悸、息切れが強い、呼吸がしづらい、鼻呼吸だけでは苦しく、常に肩で呼吸するような感じだったのだとか。検査では「異常なし」だけど、病院からは漢方薬を含め、13種類の薬が処方されている…そして全く効果がない。

↑藁をもつかむ思いで相談に来られたそうですが、初回は息苦しくて、駐車場から店内に入るのもおぼつかないほど。この方には「腎は納気を主る」という考えから、3種類の漢方薬を出されたそうです。その後、10日の服用で呼吸がすごく楽になり、鼻だけで息ができるように。気分も良くなり、眠たさも軽減し、体が軽くなったそうです。

すごく効果が出た症例ですが、この症例を通して、「納気」というのは「細胞内呼吸」であるということの証明になっていると思いました。現代医学的には「原因不明」の呼吸不全、細胞外での酸素の運搬は正常でも、細胞内の酸素の移動は別のシステムであり、そこでは「腎」が関与しているというもの。深いです。

脳に心はない

脳は考えたり感じたりするためではなく、動きを制御するために進化したもの。状況に応じた複雑な動きをするために存在する。(ケンブリッジ大学教授 ダニエル・ウォルパート博士)動くのに必要な感覚器官(目・耳・鼻など)が集まっている。

ホヤは海の中を漂い、適当な岩礁に固定されると動き回る必要がなくなり、自分の脳を食べてしまう。木の上でジッとしているコアラの脳は頭蓋骨の容積に比べ小さい。動かすという行為は、脳を退化させないためには大事。

睡眠はデトックスの時間

脳内のグリア細胞が血管の外側にパイプのようなものを形成。このパイプを通じて栄養に富んだ脳脊髄液を神経細胞に届けるとともに、老廃物を含んだ脳脊髄液を排出している。マウスによる実験では、ノンレム睡眠時に脳細胞が縮んで脳細胞間の隙間が約60%も広がり、アミロイドβなどの老廃物を排出しやすくしている。睡眠の質が良い人ほど、脳内のアミロイドβの蓄積が少ない。

「腎」に対する理解がより深まったと思います。中医学に対する知識のアップグレードができたと思います。ありがとうございました。

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