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Q.アトピー性皮膚炎の人の悪化原因の1つ「湿」はどうして起こるの?

A.不要な水分が体に溜まるから

「皮膚は内臓の鏡」という言葉があるように、アトピー性皮膚炎の場合、内臓の乱れ、特に「脾(消化器系)」の機能が低下している場合が多いことが挙げられます。

「脾」は体の免疫機能を司り、消化機能を総括します。

「脾」の働きが乱れていると、食物が健全に消化されず、皮膚への栄養が提供できなくなってしまいます。

例えば、冷たい飲み物ばかりを飲んでいると、消化機能が低下することは理解できると思います。

「体に良い水分」というのは、皮膚に潤いと栄養を与えます。「不要な水分」は皮膚に恩恵を与えません。体の中に「湿」を作るのです。

アトピー性皮膚炎の人の多くに胃腸の機能低下が見受けられます。消化機能低下は、食事を消化吸収して健康な体を支える「津液(水)」を作り出すことを困難にします。その結果、不要な水分が体内に「湿」を生み出し、肌のトラブルにつながります。

皮膚の表面は潤いがなくてカサカサしているのに、体の中は「湿」が溜まってジュクジュクしている…。この状態がアトピー性皮膚炎の特徴でもあります。

「湿」はそのイメージの通り、ベタベタとしてカビを作りやすいもの。「体に溜まったヘドロのようなもの」で、なかなか取り除きにくく、アトピー性皮膚炎の治療が難しいと言われるのは、「湿」を取り除くのが難しいから。この点が、西洋医学の治療メニューにはないところではないでしょうか。

湿気の多いこの時期は、患部がジュクジュクしやすくなる時期でもあります。湿気は胃腸の働きを鈍らせてしまいます。

確かに、暑さで熱が体内にこもりやすく、冷たい物をどんどん取り入れてしまいがちな季節ですが、冷たい物を「摂り過ぎない」ことは重要なポイントです。体に余分な水分である「湿」が溜まりやすいので、利尿作用のあるサツマイモ、山芋、冬瓜などを食べるのもおススメです。

また、適度に汗をかくことも大事です。ただし、汗は小まめに拭きましょう。汗をかいたままにしておくと、塩分やその分泌物が肌を刺激してしまいます。濡れタオルで優しく拭き取ることがポイントです。

「湿」を作らないようにすること。それには、「生冷飲食」「肥甘厚味」のものを避けること。

「生冷飲食」とは、生のもの(魚介類や野菜など)、冷たい飲食のこと。「脾」の弱い人にとって、生の魚介類・生野菜・冷たい果物や飲食物の摂り過ぎは、胃腸を冷やし負担をかけ、「湿」を生んでしまいます。「湿」はますます胃腸の働きを弱める原因に。飲み物には氷を入れないことも養生の1つです。

「肥甘厚味」の「肥」は脂っこいもの(脂身の多い肉・揚げ物・バター・ラードなど)、「甘」は甘いもの(ケーキ・チョコレートなど砂糖をたくさん使ったもの)、「厚」は味の濃いもののこと。「脾」に負担をかけ「湿」や「湿熱」、「瘀血」を生み、病気の引き金に。なるべく控え、薄味の和食を心掛けましょう。