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中医学には「婦人は血をもって本となす」という言葉があります。これは、女性の健康や美しさの基本は「血」にあるということ。

「血」は、主に西洋医学で考える「血液」のことを指しますが、中医学では、生命の活動の基本となる重要な物質とされ、「血」が充実して体内をスムーズに流れていることが健やかな状態と考えています。

「血」の主な働きは、全身のあらゆる組織や細胞に栄養を運ぶこと。この作用によって臓器や目、筋肉などに栄養が行き渡り、それぞれが十分に機能して健康な状態が保たれます。また、「血」は潤いを多く含み、「静」の特徴をもつことから、「体に潤いを与える」「精神を安定させる」といった働きも担っています。

体内の「血」が不足してこうした機能が低下すると、疲労感、冷え、月経不順、目の乾燥、情緒不安定、睡眠障害…といった、心身の様々な不調を引き起こす原因に。また、美容の大敵となる肌の乾燥や髪のパサつきなども、「血」の不足によって現れます。

そんな「血」は、主に「脾胃(消化器系)」が消化吸収する栄養素を元に生み出されます。そのため、体内の「血」を十分に養うためには、まず「脾胃」を元気にいてしっかりと栄養を摂ることが大事です。

女性の体は月経、出産、授乳などを通じ、生涯にわたって「血」と深く関わっています。その分「血」を消耗しやすく、冷えや乾燥、情緒不安定といったトラブルも起こりやすくなります。

冷えや乾燥、不眠などの自覚症状があれば、「血不足」と捉えて改善することを大切にします。養生の基本は、体内の「血」を十分に養って「栄養作用」を高めることです。「脾胃」の調子を整え、毎日の食事をバランス良くしっかり摂ることを心がけましょう。反対に、過度なダイエットは体内の「血」が不足してしまうので注意を。

「甘みのあるもの」「黒いもの」を

「食の養生」としては、ナツメ、クコの実、落花生、ニンジン、ホウレン草、黒ゴマ、黒砂糖、きな粉、レバー、鮭、鶏肉、豚肉、魚の血合い…など「甘みのあるもの、黒いもの」で「血」を養います。ただし、食事のバランスに気を配り、栄養をしっかり摂ることです。「血」を生み出す「脾胃」のケアも大切です。「脾胃」は冷えに弱い臓器、温かい食べ物、飲み物を心がけて下さい。

漢方薬では「婦宝当帰膠」や「参茸補血丸」などがおススメです。

心の不調を感じたら…

中医学では、「血」は「静」の性質があると言いましたが、精神を安定させる働きがあると考えます。そのため、体内の「血」が十分にあれば、心の不調は起こりにくくなるのです。反対に、「血」が不足して精神安定の作用が低下すると、情緒のトラブルが起こりやすくなることも。精神的な不調を感じたら、「血」の不調が起きているサインと考え、積極的なケアを心がけましょう。

養生のポイントは、「血」を養いながら、早めにストレスを取り除くこと。過剰なストレスは血流の悪化にもつながるので、香りの良いお茶などを利用して、気持ちをリラックスさせましょう。

小豆、百合根、小麦、ぶどう、竜眼肉、菊花茶、ジャスミン茶、ミント、ミカンの皮、三つ葉など、「ストレスを発散して、精神を安定させる食材」を。

漢方薬では「婦宝当帰膠」「天王補心丹」「逍遙顆粒」「加味逍遙散」「心脾顆粒」などがおススメです。

肌や髪の乾燥を感じたら

「血」の養生は、美しさを保つ上でも大切なこと。「血」は潤いを多く含んでいるため、体内に「血」が充実していれば、体の隅々まで潤いが行き届きます。なので、体に潤いが満ちていれば、顔色も色々健康的になります。

反対に、「血」が不足して潤い作用が低下していると、皮膚が乾燥し、髪もパサつきがちに…。また、体内の潤い不足は、目の乾燥や便秘、関節が動かしにくい…といった体の不調にも。乾燥の症状を感じたら、「血」を養いながら、体の潤いをしっかり補うことが大切です。食生活に気を配り、潤いの多い食材を積極的に摂るように心がけましょう。

白きくらげ、バナナ、リンゴ、桃、イチジク、イチゴ、キウイ、スイカ、海藻類、豆腐、玉子、オリーブ油、ゴマ油、豚足、手羽先、ハチミツなど、「体に潤いを与える食材」を。

漢方薬では、「婦宝当帰膠」「沙棘オイル」「百潤露」などがおススメ。