こんにちは。

中医学の考えで重視しているのが「整体観」と「弁証論治」。

「整体観」は「全体観」とも言いますが、ものを考えるとき、問題の部分ではなく、まず全体から考えるということです。全体をみたあとで部分を考えます。

体を考えるときは、体の内部を「整体観」からみるだけではなく、人間を取り囲む自然も含めて1つの統一体として考えます。

ボクたちは自然の中で生活しています。自然界の一員であり、自然の一部として自然界から様々な影響を受けています。なので、病気を治療する時には、常に人体と自然界の関係を一緒に考えます。

春は、「風」が比較的強く、自然界は命が芽吹く季節です。この季節に病気になると、「風」のような症状を現すことが多くなります。アトピー性皮膚炎の人は、「春」になると「痒み」が増すことがあります。「風」の症状が強くなっているのですが、そのときは「風」を発散させるような食事や漢方薬で対応します。

夏は、暑くて「熱」の症状が多くなります。皮膚の症状では「熱」があるために「赤み」が強くなります。体を冷ますような食物を摂るようにします。

秋に入ると、空気が乾燥してきます。皮膚は乾燥して「燥」の症状が強くなります。これに対して皮膚を潤し、体を潤すような食物を摂ります。

冬は寒さで体が冷えます。自然界の動きは少なくなります。この時期は体質改善をしたり、体を養うものに最も適した時期であり、それに対応した食事をします。

もちろん「四季」や「気候」だけが人を取り囲む要素ではありません。住んでいる環境、家庭内の環境、それに人間の年齢、性別など全体の生活の条件も配慮することが大切です。

また、体の局所の病気や症状であっても、必ず体全体との関連に基づいて原因を捉えます。表面に現れた病変だけではなく、それをもたらす根本の原因を、体全体から見つけ出すわけです。治療についてもやはり「整体観」に基づいて、根本の原因を治すようにします。

皮膚の病気で考えると、皮膚の症状が現れているところだけに軟膏を付けるような治療はしません。体の中の皮膚と繋がりのある臓器である「肺」を治療することが大切だと考えます。アトピー性皮膚炎の子どもは、咳や喘息などがあり、気管支が弱いことがよく見られますが、皮膚と「肺」との繋がりを示しています。

体の「五臓六腑」の働きを知ると、臓腑から発生する病気の症状をある程度推察することができます。老化についても、体のある部分だけを見ていては、何の解決にもならないことが多いです。

「自然と人」「社会と人」「体全体と症状のある部分」などの関わりの中で、人の病気や症状がはじめて理解されます。

中医学は、症状の局部だけの治療にとどまらず、症状をもたらす原因を追究して考える「整体観」が特徴です。

中医学では人間の体も自然の一部としてとらえ、1つの器官の不調だけを重視するのではなく、体全体のバランスを整え、体が本来備えている「自然治癒力」を高めることを治療の基本にしています。そして、中医学では訴えをもとに、その情報を分析して「証」を求め、証に応じて治療法を考案します。これを「弁証論治」と言い、中医学の特徴です。