こんにちは。

ボクたち人間の体は、全身を巡る3つの要素である「気」「血」「津液(水)」で構成されていると中医学では考えます。

今回は「気」について取り上げてみたいと思います。

「気」とは、生命活動を支える体のエネルギー源で、「元気」「気力」の「気」。体内の「気」が充実して、スムーズに巡っていれば、心も体も元気に活動することができます。

体を巡る4つの「気」

体内の「気」は、分布している場所や働きによって、「元気」「宗気」「営気」「衛気」の4つに分けられます。

元気:全身に分布し、生命活動の原動力となる重要な「気」で、生長・発育を促進し、臓腑や組織の働きを活発にさせる働きがある。

宗気:胸中(主に肺・心)に分布する「気」で、心臓の拍動や呼吸の推進、発声、血液の推動、体を温める、といった働きがある。

営気:血脈(血液中)に分布し、血液の組成に関わり、全身の血液を与える、精神を落ち着かせる、といった働きがある。

衛気:皮膚、筋肉、胸腹部などに分布し、皮膚や筋肉、臓腑を温める、発汗・温度の調節、外邪の侵入を防ぐ、といった働きがある。

「気」のもつ6つの作用

生命活動を支える「気」には、重要な5つの働きがあります。

推動作用:体内の活動を推進する作用で、生長・発育を促す、臓腑の生理機能を推進する、「血」や「津液(水)」を押し動かすといった働き。「気」が不足すると、こうした作用も低下するため、元気不足、生長や発育の遅れ、臓腑の機能低下、血流の悪化、水分の停滞などにつながる。

温煦作用:体を温め、正常な体温を維持する作用のことで、臓腑や経絡の生理機能を促す、「血」や「津液(水)」の運行を維持する、といった働きも温煦作用にあたります。この作用が低下すると、体温をしっかり保つことができず、冷え性、臓腑の機能低下、血流の停滞などを招きやすくなります。

防御作用:体の免疫力のような作用のことで、全身の表面を覆い、外邪の侵入を防ぐ。また、不調や病気と闘って、体を回復させる働きも。防御作用が弱まると、病気にかかりやすく治りにくい、重症化しやすい、といった状態に。

固摂作用:体液を漏れを防ぐ作用のことで、「血」が血管から外に漏れないようにする、「津液(水)」の流失を防ぐ、といった働き。また、臓腑を正常な位置に保つことも、固摂作用にあたる。この作用が弱くなると、胃腸、子宮、皮下などから出血しやすい、鼻水、胃下垂などの不調があらわれやすくなる。

気化作用:体内の物質を変化・代謝させる作用のことで、飲食物から「血」や「津液(水)」を生成したり、「気」「血」「津液(水)」「精」を互いに変化させたりする働き。また、体内の水分代謝も気化作用にあたる。気化作用が低下すると、むくみ、排尿トラブル、新陳代謝の低下といった不調が起こりやすくなる。

「気」は3つの要素の結合

「気」は「清気」「水穀の気」「精」の3つが結合により生み出されるとされています。

その3つとは、「肺」によって吸い込まれる「清気」、脾胃(胃腸)が食事の栄養から生み出す「水穀の気」、腎に蓄えられた生命エネルギー「精」。

そんな大切な「気」、十分な「気」を養うためには、まず脾胃(胃腸)の働きを健やかに整えることと、日頃から栄養をとることが大切です。また、肺を強くすること、腎を養い「精」を充実することもポイントです。