こんにちは。

呼吸を担当する内臓は「肺」。

中医学では、呼吸器の目的は、空気中の酸素に相当する「清気」を吸入し、炭酸ガスである「濁気」を出すことです。

空気はまず鼻から入り、のどを通って気管、気管支、細気管支を経て、最後に肺胞に。血液に酸素を供給し、引き換えに炭酸ガスを受け取り、気道を逆行して体外に排出されます。

肺は皮毛を司る

この道筋が全て「肺」の範囲であるので、中医学の「肺」は、今日の「肺」だけではなく、鼻から肺胞までが含まれています。そして、非常に重要なことは、皮膚、毛孔も「肺」の一部と捉えていることだと思います。

全体の0.6%、人間はごくわずかですが、皮膚呼吸をしています。中医学には「肺は皮毛を司る」という言葉がありますが、古代中国の人は皮膚呼吸を知っていたのかもしれません。

とにかく、呼吸器という場合、皮膚・毛孔を忘れてはいけないということです。

中医学では、「皮膚を呼吸器の一部」と見なすことから、慢性の皮膚病の治療に効果を上げています。

「肺」の防衛システム「衛気」

呼吸をすると、空気と共にホコリや微生物が侵入してきます。鼻・口呼吸でも皮膚呼吸でも、このことは同じです。

中医学の「肺」は、防衛の仕組みを備えていて、これを防衛の気「衛気(えき)」と言います。人体の第一防衛ラインといったところでしょうか…。今日では、初期防衛システムと言われる、白血球などによる防衛機能に相当すると考えられます。この「肺」は人体のバリアの役目を果たしているので、「肺」の弱い人はよく感染を起こしやすく、のどを腫らしたりすることが多いということです。

この「衛気」が不足している人は、感染症への注意が必要です。

気を付けたい「新型コロナウイルス」

昨年末から中国・武漢で集団発生しているという新型肺炎の原因とみられる「新型コロナウイルス」。日本国内で初めて確認されたということですが、来週末には「春節」を控えていて、中国国内だけでなく、世界各地に広がる可能性があります。

新型肺炎の症状は、発熱や乾いた咳などで、重症化すると呼吸困難を伴います。現段階では、インフルエンザと同様の感染予防対策が十分防ぐことが可能だと思いますので、「うがい・手洗い」はしっかりと。

中医学で考えると「新型コロナウイルス」にほる肺炎は「非定型肺炎」の1つであり、「温病」に属します。

2003年、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」が爆発的流行したとき、中国の文部科学省が抗ウイルス生薬を選別する一連の実験を行った結果、「板藍根」が肺炎に優れた活性を持っていることが分かりました。

「板藍根」はアブラナ科ホソバタイセイの根で、清熱解毒、涼血利咽の作用があり、インフルエンザの予防に欠かせない生薬です。

WHO(世界保健機構)が公表した「新型コロナウイルス」の遺伝子の配列は、欧米の研究機関や日本の専門家によると、2003年、中国やアジアを中心に広がった「SARS」の遺伝子と似ている点が多いということなので、今回も「SARS」のような状況が起こる可能性は十分にあります。

「板藍根」が有効とも…

爆発的な流行の可能性もある「新型コロナウイルス」ですが、「SARS」の仲間ということもあり、「板藍根」での予防が期待されています。薬理実験によると、「板藍根」はアルカロイド系、有機酸、リグノイド、ポリペプチド、多糖類など抗ウイルス作用のある活性物質が含まれ、さらに幅広いスペクトルの特徴があるため、耐性ウイルスが生まれにくく、副作用も少ないのだとか。

この「板藍根」を煎じたものが「板藍茶」ですが、小さいお子様から安心して飲めますし、眠くなることはありませんので、受験生、運転中でも大丈夫です。

基本の予防は、うがい、手洗い、バランスの摂れた食事、十分な睡眠なのですが、更に「板藍茶」をお茶として小まめに飲まれると、なお安心です。

また、普段からカゼを引きやすい人は、「肺」の防衛力を高めることが大切で、白い色の食品、香気のあり辛味のある食品に「肺」を強める作用があると言われています。例えば、白きくらげ(銀耳)、豆腐、大根、ネギ、ニンニク、クワイ、タケノコ、銀杏、梨、百合根など。漢方薬では、衛益顆粒がおススメです。