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中医学では、病気にかかった人を治療するよりも、むしろまだ病気にかかってはいないが半分病気の状態「未病」の人を治すことが大切だと説いています。

中国最古の医学書とされる「黄帝内経」には、「聖人とは、すでに病気にかかっている人は治療しない、完全に病気になってしまう前に治療するものである。これは例えるなら、反乱が起こる前に鎮めてしまおうということである。病気になってから薬を与えるのでは遅すぎる」

つまり、病気にかかった人を治すよりも、病気になるかもしれないような状態での「未病」の人を治すのが名医とされています。まず、病気にかかる前に防ぎ、すでに病気にかかってしまっている場合は悪化することを防ぐ、これが中医学の一貫した考え方です。

健康と疾病は、人生において直面する、2つの大きな問題です。

健康とはどういうことなのか…。調べると「身ともに健やかな状態であること」と出てきます。健康とは、単に疾病がないことに限らず、体と精神が社会上で完璧な状態にあることを指しています。

健康と疾病の間には、ハッキリとした境界がありません。健康そうに見えても、本人には自覚がないだけで、内部には病気になる原因が隠されているかもしれないからです。

現在、社会に見られる多くの疾病には、早期の臨床的な症状がありません。例えば、早期の糖尿病では、血糖値が高い傾向を示したり、グラフに耐糖能障害があらわれたりするだけ。これは非健康状態で、健康と疾病の間の状態です。

こういう人には、この状態から糖尿病にまで悪化させないように、「未病先防」が必要となります。例えばガンは、症状があらわれると末期である可能性が大きいため、早期発見、早期治療、、早期予防が大切であると言われているのはそのためです。

最近では、多くの疾病が不規則な生活習慣から生じることが分かってきています。例えば、喫煙、節度のない飲酒、過食、肥満、異常性行為及び生活リズムの乱れ、運動不足などは疾病の原因、あるいは誘因となります。今の社会では、自らの健康、養生に注意を払い、病気を未然に防ぐことが重要なのです。

中医学の疾病観では、病気にかかる1つの要因は「邪気」とされています。それに相対するのが、人体中の抗病能力の「正気」です。疾病とは、正気と邪気との戦いです。人体の正気の重要性が強調されるのは、体の中に正気があれば、邪気の侵入を防げる…という考え方が基になっています。

疾病とは、体の一部の器官の組織と働きが異常な状態にあるためで、それが体全体の機能の不調につながります。特に、人体内部の抗病能力と自分自身で健康のバランスをとり、安定状態を保つ能力、それに正気が強ければ邪気を追い払うことができる「扶正去邪」が必要とされます。

そこで養生によって、体の免疫力を高めて、疾病の発生を予防するすることが大切となります。