こんにちは。

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴い、政府が緊急事態宣言を発令しましたが、まだまだ先の見えない状態が続いています。感染経路不明の患者さんも多く、急速な増加が懸念されますが、特効薬がない中、予防と治療に中医学・中成薬(中国漢方)の役割が注目されています。

中医学の歴史は「疫病」との戦いの歴史。約3000年の間に500回以上もの「疫病」が発生したと「史記」に記録されており、中医学は「疫病」に打ち勝ち発展してきたわけです。

そんな中、ボクたちは先週と先々週、2回連続で開催されたWebセミナーに参加、中国における中医学の治療に関する情報を勉強させていただきました。

今回、感染症発生直後、いち早く武漢の医療現場に赴き、中医学の治療を実践されてきた 中国工程院院士・天津中医学大学学長 張伯礼 先生との交流会にWebで参加させていただきました。

Web交流会には全国から700人くらいの先生が参加されていて、張先生から直接中医学による新型コロナウイルス( COVID-19)の予防と治療の経験を聴き、日本でどのような取り組みができるかについてアドバイスを受けました。

今回、中医学的にみた新型コロナウイルス(COVID-19)病因病機、また実際に現場で用いられた中成薬(中国漢方)の解説など最新の情報を聴くことができました。

中医学的にみると、今回の新型コロナウイルス(COVID-19)は「湿」が特徴で、「毒」が基本病機で「湿毒疫」に属している。病位は主に「肺」「脾」で、多臓腑にも及ぼす。寒化、熱化、燥化に転化し「瘀血」や「絡阻」を併発する場合がある。治療原則は化湿解毒、辟穢化濁が主。

中国全土から40000名の医療従事者が武漢へ支援し、その中の4900余名が中医薬の専門家であった。中医薬による治療は全過程を占め、早期、進行期、重症期、回復期それぞれに中医薬を投与した。

全国の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症例の中、74187人(91.5%)、湖北省の感染症例61449人(90.6%)に中医薬を使用。早期及び進行期の治療は、重症化を減らし、死亡率を低下させるカギとなった。それぞれ発病特徴、体質に合わせて処方を調節することが望ましい。

  • 初期:宣肺化湿【清肺解毒湯】
  • 進行期:清熱解毒、涼血活血【金花清感顆粒】【連花清瘟膠嚢】
  • 進行期:活血化瘀解毒【血必浄注射液】
  • 回復期:扶正固脱、益気養陰【独参湯】【生脈飲】

西洋医学治療のみを受けた患者に比べると、中西医結合(西洋医学+中医学)の治療を受けた患者では、熱や咳倦怠感などの症状を早めに緩和し、検査数値や肺のCT画像が良くなり、軽症が重症への転化率が下がり、サイトカインストームの回避にも役立ち、死亡率を下げる効果が確認できた。

張先生は最後に、世界に蔓延する新型コロナウイルス(COVID-19)が、一日も早く終息するため、西医、中医の医療従事者が一丸となり、国と地域の壁を打破し、共に新型コロナウイルス(COVID-19)に打ち勝つように努力していただくことをする…とおっしゃっていました。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症で「特効薬」がないという状況の中、「疫病」に打ち勝って進化してきた中医学は、重症化させないために有効であり、実際に成果をあげているということが分かり、勇気づけられました。

全国に緊急事態宣言が発令され、いよいよ緊張感が高まってきました。3密(①換気の悪い密閉空間 ②多数が集まる密集場所 ③間近で会話や発声をする密接場所)を避け、不要不急の外出を避け、人との接触を8割減らすということを守りつつ、マスクや手洗いをしっかり行い、中成薬(中国漢方)で予防を講じていこうと思います。