こんにちは。

これからの季節、梅雨から夏にかけては湿気や暑さで「脾胃(消化器系)」の不調を感じやすい時期です。食欲不振や胃もたれといった症状が続くと、体力が落ち、体調を崩しやすくなってしまいます。

中医学では「脾」は栄養素や水分を吸収し、全身に運ぶ「運化」を、「胃」は飲食物の「消化」をそれぞれ受け持っていると考えます。そして、食事から栄養を吸収し、生命活動の基本となる「気」や「血」を生み出す大きな役割を担っています。

「脾胃」が元気で栄養をしっかり摂ることができれば、基本的な体力、免疫力が養われ、健康な体をつくることができます。一方、「脾胃」の機能が弱くなると、食欲不振、下痢…といった症状を招き、栄養やエネルギーが不足しがちに…。夏バテや疲労、冷えといった不調も起きやすくなってしまいます。

また「脾胃」には消化・吸収のほか「血液が血管から漏れないように保護し、血尿や月経過多などを防ぐ」「胃下垂などの内臓下垂を防ぐ」「全身の筋肉や四肢を養う」といった役割もあります。

「脾胃」には、血液が血管から漏れないように保護し、必要な器官に必要な分を届ける運行管理の働きがあります。そのため、「脾胃」が弱くなりこの機能が低下すると、血尿や血便、皮下出血、月経過多、不正出血など「血が漏れ出る」といった症状があらわれます。

そして「脾胃」は全身の筋肉や四肢に栄養素を運び、体をスムーズな動きをサポートしているので、この機能が低下すると、筋肉の衰えや四肢の倦怠感などを感じるように。

「食べ物の消化・吸収」「血液の運行管理」「筋肉や四肢」…このようなところに症状があらわれる場合は、「脾胃」の不調を疑います。

また中医学では「脾胃」の不調は唇や味覚にあらわれると考えます。「味がしない」「口が苦い」「口が甘い」「口臭がある」といった異常を感じたら「脾胃」に不調があるサイン。「脾胃」の不調で食欲が落ちているときは、ミョウガ、シソ、山椒の実、チンピ(ミカンの皮)など香りの良い食材を取り入れてください。

普段の生活では…

  • 冷たいものは「脾胃」の大敵、なるべく温かいものを
  • 暴飲暴食や脂っこいものは避けて
  • 食事に集中(専食)の習慣を
  • 体を動かして食欲アップ
  • 朝食は消化の良いものを

中医学には「内傷脾胃、百病由生」という言葉があります。これは、「脾胃」が傷ついて食事がしっかり摂れなくなると、元気な体を保てずに病気に罹りやすくなってしまう。夏は冷たいものの摂り過ぎから、「脾胃」が傷つきやすくなります。

日頃の養生を心がけ、食欲不振や夏バテを防ぎましょう。それでもなかなか改善が見られない場合、中成薬(中国漢方)や自然薬の出番です。