こんにちは。

蒸し暑くて寝苦しい夜は、悪い夢にうなされることがあります。

「怖い夢を見る」というのは、水分代謝障害による病理産物である「痰(たん)熱」が関係すると言われます。

「悪夢」と「痰」。一見無関係のようですが、中医学の視点からみると共通点があります。

ストレスより粘液状の分泌物が多くなったり、日頃、脾胃(消化器)の働きの悪い人が、水分を摂り過ぎたりすると、体内に病理的な水分…「湿(しつ)」が溜まりやすくなります。さらに、これが長く停滞すると粘り気が増し「痰」となります。

つまり「痰」は「湿」より発生するので、食生活の偏り(脂っこいもの、しつこい味のもの、飲酒)、季節の影響(梅雨や高湿度)または臓腑の機能失調によって、ヘドロのような「痰」が体の中に溜まっていきます。

その「痰」が体の各部に影響が及ぶと、不眠、イライラ感、胸悶感、憂鬱感、不安感、幻覚などの症状が現れ、胸苦しさから、「悪夢にうなされる…」ということになるというわけです。

「湿」を払い、悪夢を解消してくれる漢方薬に「イスクラ温胆湯(うんたんとう)」があります。鎮静・安眠作用のある「黄連(おうれん)」「半夏(はんげ)」「酸棗仁(さんそうにん)」に、「痰湿(たんしつ)」や「気」の停滞を改善する「竹茹(ちくじょ)」「陳皮(ちんぴ)」「茯苓(ぶくりょう)」などを配した処方で、「湿」が原因となる胃腸症状から精神症状改善まで幅広く使用できます。

実際、不眠でご相談いただいた方でよく効いた例もあります。2年くらい精神科にかかって睡眠導入剤と漢方薬を服用されていた若い女性で、中途覚醒や日中の集中力低下、物忘れが…など訴えられていました。問診、舌診などから「痰湿」が原因と判断し、まずは半月分を差し上げました。次に来られたときにはかなり改善され喜ばれていました。

その方も、聞いたら「悪夢を見る」と言われてました…。

「イスクラ温胆湯」のパッケージには「バク」が描かれています。「バク」は東南アジアや南米に住む動物ですが、日本では「夢を食べる」という言い伝えがあります。特に悪夢を避けることから、古人はいい初夢が見れるために宝船やバクの絵を枕の下に敷いて寝る風習があったのだとか。

中医学では、物事にビクビクする、不安感、決断に迷う…と言った精神状態を「胆寒(たんかん)」と言います。日本でも「胆(きも)を冷やす」という考え方があります。「温胆湯」…と言う名前は、胆を温め(強め)ることにより、胆力をつけ、不安や恐怖、驚きなどの精神状態を改善する…ということから来ています。「胆を温める」という意味ではありません。

悪夢で目が覚める、寝つきが悪い、起きてからも熟睡感がない、胃の不快感で目が覚める…などの不眠におススメです。