こんにちは。

「食養生」とは、文字通り「食で命を養う」ということ。ボクたちの体は食べ物から摂る栄養素でつくられているため、食を整えることが健康を保つ一番の基本となります。

カロリーや栄養素の計算ではなく、食べ物の持つ「味」と「性質」から食事を考える…これが「食養生」の基本です。

食材には「五性(温性・熱性・寒性・涼性・平性)」や「五味(酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味)」といった性質がありますが、その特性を季節や体調の変化に合わせて取り入れることで、食事から体を整えるわけです。

難しそうに思えるかもしれませんが、こうした食材選びは普段から普通にやっていること。例えば、体や脳が疲れていると甘いものが食べたくなったり、寒い時期には体を温める辛い料理が美味しく感じられたり…。こんな風に、ボクたちはその時々で体が求める食べ物を自然と選んでいるわけです。

自然の恵みとはよくできたもので、夏には体を冷やす食材が、冬には体を温める食材が多くなり、それぞれ季節に合った働きで自然と体を整えてくれますが、旬の食材は美味しくて栄養も豊富なので、積極的に取り入れるといいです。

五性:体を温める、冷やす…といった働きを表しています。「寒性」「涼性」「温性」「熱性」と、寒熱どちらにも属さない「平性」の5つに分けられます。

温性・熱性体を温める食材で、気・血の流れを良くしたり、新陳代謝を高めたりする働きがあります。寒い時期や、冷え性の人、疲れやすい人などに。しょうが、ねぎ、にんにく、玉ねぎ、にら、しそ、よもぎ、シナモン、唐辛子、桃、くるみ、かぼちゃ、鶏肉、羊肉、鮭、あじ、えび、もち米、酒類、紅茶、黒砂糖 など
平性冷やし過ぎず、温め過ぎず、寒熱どちらにも属さない穏やかな食材。常食に適していて、虚弱体質の人や病後、高齢の人などにも安心。とうもろこし、山芋、じゃがいも、キャベツ、もやし、人参、クコの実、小豆、大豆、ごま、ぶどう、りんご、豚肉、いか、うるち米 など
寒性・涼性体内の余分な熱を冷まし、体を冷やす食材。夏の時期や、熱っぽい症状、ほてり、のぼせがあるときに。きゅうり、セロリ、トマト、ゴーヤ、大根、ほうれん草、れんこん、緑豆、なす、スイカ、梨、バナナ、あさり、しじみ、わかめ、豆腐、そば、緑茶、はと麦、白砂糖 など

五味:五味は五行学説に基づいた考え方で、それぞれ「酸味=肝」「苦味=心」「甘味=脾」「辛味=肺」「鹹味(塩味)=腎」というように分かれていて、対応する臓器を調整する作用もあります。五味に加え、利水作用のある「淡味」、酸味と同じ作用をする「渋味」といった味覚も。

酸味汗や尿など体液の過剰な流失を抑える、筋肉などを引き締めるといった働きがあります。頻尿や多汗、下痢などの症状に。レモン、梅干し、酢、サンザシ など
苦味体内の余分な熱を冷まして炎症を抑える、湿(余分な湿気や汚れ)を取り除く、便通を良くするなどの働きがあります。皮膚トラブルや便秘、喘息などに。ゴーヤ、銀杏、緑茶 など
甘味血の栄養分や体内の気を補給し、体を補う働きがあります。疲れているとき、痛みを和らげたいとき、虚弱体質の人などに。白米、牛乳、バナナ、はちみつ、肉類、なつめ、黒砂糖 など
辛味体を温めて、気・血の流れを良くしたり、邪気を発散したりする働きがあります。カゼの初期の寒気、くしゃみ、鼻水や冷え性の人などに。しょうが、ねぎ、にんにく、玉ねぎ、ニラ、大根 など
鹹味固いものを柔らかくする…という働きがあります。皮膚や筋肉のしこり、便秘などの症状に。昆布、わかめ、のり、いか、あさり など

体に合った食材選びはもちろん、「食べ方」にもちょっとした気配りを。体に負担をかけない食べ方を心がけましょう。例えば、朝・昼・夕の食事の基本は、

朝食:消化の良いものでエネルギー補給

昼食:品数多めを心がけ、しっかり栄養を

夕食:時間は早め、ボリュームは控えめ

食養生は、こうした食べ物の特性、食べ方を積極的に取り入れ、健康な体作りに活かす中医学の知恵。日々の食事は、今の健康だけでなく5年、10年先の体作りにもつながるわけです。