こんにちは。

ウイルス感染などの感染症は何といっても初期的な体の反応で打ち勝てるのが良く、それにはボクたちが持っている「抵抗力」や「免疫力」がしっかりとしている必要があります。

これは感染症だけでなく、免疫の不調から引き起こされるアレルギーによる過敏反応でも同じことが言えます。必要なときにしっかりとした免疫の力が発揮できて、過剰な反応をしないようにする「調整力」が免疫においては必要になります。

中医学的には免疫は体の陽、つまり「気」によって生じる反応で、特に感染症やアレルギー反応には体表面を流れて表を固めたりする「衛気(えき)」の働きがそれを担ってくれると考えています。

そんな「衛気」が弱ると…

  • 汗が増える。あまり活発に動かなくても汗が出る。
  • カゼや感染症にかかりやすくなる。
  • 粘膜の過敏症やアレルギー症状が出やすくなる、治りにくくなる。

「衛気」が弱い…バリアが弱いと皮膚や粘膜から邪気が体内に侵入やすくなるわけです。つまり「衛気」はボクたちの体を病気から守ってくれる「第一次防衛ライン」とも言える大切なものです。

中医学では体の細胞を元気にする(気を補う)ことを「補気」と言い、「二大補気薬」と呼ばれているのが「人参」と「黄耆(おうぎ)」です。

人参と黄耆は虚弱体質の改善、心臓や肺、胃腸の機能が落ちたとき、性欲減退、性機能障害などに使われますが、人参は体の深いところに使い、黄耆は体の表面的な部分に使います。外的刺激に弱い肌や粘膜を健康に保ちたいときは黄耆の出番。つまり「衛気」をパワーアップするには黄耆が適しているわけです。

「衛気」を補う黄耆を中心に、消化機能を高める「白朮」、カゼの侵入を防いで「気」を巡らせる「防風」などを組み合わせた代表的な処方に「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」があります。体の表面に屏風を立てて、外からの邪気を防ぐ効果があるというのが名前の由来です。

「玉屏風散」は、今流行中の新型コロナウイルスやインフルエンザなどに備えとして活用できるほか、花粉症などの粘膜性のアレルギーの予防や症状の緩和に役立つ、初期免疫に欠かせない処方であると考えます。

日本では「衛益顆粒(えいきかりゅう)」という名前で販売されています。