こんにちは。

中医学では体のしくみや病気の状態を自然界に例えて説明します。これは人間の体は自然界の一部であると考えているから。

植物のエネルギーはすべて種に集約されています。腎臓はちょうどインゲン豆の種の形をしていて、同じように生命力が集約されています。

「腎」には父親と母親からもらった命の元である「先天の精」が詰まっているので、人の成長や発育、老化に深く関わっている臓器であると言えます。

なので、良い種でないと丈夫な植物が育たないように、「腎」が弱ければ健康な体を作ることができないと中医学では考えます。

「腎」は生殖、ホルモン、免疫、泌尿器、自律神経などの機能とも関連づけられるため、「腎」が弱いと生殖の力も弱く、不妊症や生理の不調、精力減退などの症状として現れます。

加齢、過労、乱れた生活習慣などによって進んでいく「腎」の衰えは他の臓器に波及して、体全体に影響を与えた結果、免疫力を低下させ、病気が治りにくくなるもとになります。

中医学には「陰」と「陽」の考え方があります。簡単に言えば、「陰」は体を潤し冷ます性質が、「陽」は体を動かし温める性質があります。健康な人は「陰」「陽」のバランスが良く保たれています。

「腎」にも「腎陰」と「腎陽」があります。

「腎陰」「腎陽」 は加齢や過労などによって徐々に失われていきます。「腎陰」が不足すると体は興奮しやすく、ほてり・のぼせ・肌や粘膜の乾燥などの症状が現れますし、「腎陽」が不足すると、体の機能が低下し、冷え・浮腫み・疲労感・腰痛などの症状が現れます。

「腎」を全身の水分代謝をコントロールする中心的な臓器であるとし、尿の生成や膀胱括約筋の収縮と弛緩を調整していると考えていますが、この一連の働きには、全身を温める「腎陽」が重要な役割を担っています。

体全体の熱源である「腎陽」が不足し、冷えのために腎で再吸収がうまく行われず、尿量が増えるわけです。 「腎陽」には膀胱の機能を助け尿を漏れないようにする働きもあるため、低下すると「蛇口が緩んだ状態」に。

特に「冬は腎の季節」。頻尿、夜間尿などの問題が顕在化しやすくなります。

寒い冬を迎える前から「腎」を補い始めるのが良いわけですが、寒い時期は「腎陽」を高める「補腎薬」を服用するのがおススメです。