こんにちは。

山口中医薬研究会の勉強会で、劉伶(りゅうれい)先生から生薬の「黄耆」について興味深いお話がありました。

「黄耆」という生薬はマメ科の植物、キバナオウギの根です。「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」の主成分として知られています。

その「黄耆」には、汗を止める「固表止汗(こひょうしかん)作用」、毒・膿を出す「托毒排膿(たくどくはいのう)作用」、キズを早く治す「斂瘡収口(れんそうしゅうこう)作用」のはたらきがあります。

中国では、外科で「黄耆」をよく使うそうです。キズを早く治すから、化膿にも使えるからです。

また、「黄耆」は小児科でよく使われているんだそうです。中国では「子どもの病気」には、どんな病気でも「黄耆」と言われてくらいなんだとか…。

例えば、子どもの繰り返すような中耳炎。よく再発するケースでなかなか膿が出ないケースなどに「黄耆」がつかわれます。しかも、中国の場合は大量の「黄耆」を使うそうです。排膿させて、キズを治りを早めることをしてくれます。

「黄耆」は「補気(ほき)薬」に分類されます。元気をつける薬です。

よく、「朝鮮人参」が元気をつける代表選手ですが、以前、ある中医師の先生に「朝鮮人参」は子どもには使わない…と言われたことがあります。

というのは、子どもに「朝鮮人参」を使うと、早老(そうろう)を起こすことがあるんだそうです。早老とは、成長を早めてしまうこと。例えば、小さい女の子が生理が来たり、胸が発達したり…。あくまでも過剰に長期に服用した場合でしょうが、実際にそういったことがあり、注意が必要…ということです。ただ、大人が服用する場合は問題はない…とその中医師は教えてくれました。

ただ、「朝鮮人参」はとても体力が落ちている人にはいい「補気薬」です。

ただ、同じ「補気薬」でも性質が違い、「黄耆」は子どもにも安心して服用できるんです。

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そんな「黄耆」が主成分の「玉屏風散」は、「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」という名前で売られています。この処方は「黄耆」と、「黄耆」のはたらきを助ける「白朮(びゃくじゅつ)」と「防風(ぼうふう)」という3つの生薬で構成されています。

子どもの病気には「衛益顆粒」がのみやすておススメです。もちろん、大人にも…。