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日本の病院では、肝炎などの治療に、「柴胡(さいこ)」を主成分とする「小柴胡湯(しょうさいことう)」がよく使用されていました。これは、「柴胡」には解熱・鎮痛などのはたらきがあるからですが、このような使い方は西洋学的な使い方と言えます。

中医学では、「柴胡」には「疏肝(そかん)」というはたらきがあります。

「疏」には、塞がっているものを通す…という意味があり、「疏肝」とは「肝」に滞った「気」を通し、「肝」のはたらきを正常にすることを言います。

「肝」の「気滞」による胸や脇のあたりの脹りや不快感、生理不順、生理痛などの治療に使われる生薬です。

「柴胡」はセリ科の植物の根で独特の芳香があります。実は、この香りこそが「柴胡」の重要な成分の1つ。気分をリラックスさせて、うっ積した邪気(ストレス)を発散させるはたらきがあります。こういった漢方薬のほとんどは、この香りが重要な成分なので、この独特な香りがあるかどうかは、生薬の効き目を左右します。

「疏肝」作用のある「柴胡」は「ストレスの良薬」と言えますが、1つ注意しなければならないことがあるんです。

それは、「気」の流れを良くする一面、体を乾燥させる…といった欠点があるからです。なので、慢性病や虚弱体質で体の潤いや血液が消耗している人には要注意です。

「小柴胡湯」は寒気と熱っぽさが交互にあらわれるようなタイプのカゼの治療にも応用できますが、もともと潤いを補うような生薬は含まれていないので、長期間の連用や、老人などに使用する場合は十分に注意する必要があるんです。

「小柴胡湯」以外、「柴胡」の入った漢方薬として「逍遥丸(しょうようがん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などがあります。

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「逍遥丸」の場合は、「当帰(とうき)」や「芍薬(しゃくやく)」などの「補血薬」で、潤いや血液を消耗させないような処方なので、長期に使用される場合でもそれほど注意は必要ありません。