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中医学では、血液の滞りを「瘀血(おけつ)」と呼んでいます。

「瘀血」の原因として「気虚(ききょ)」「陽虚(ようきょ)」「陰虚(いんきょ)」「気滞(きたい)」「痰濁(たんだく)」があります。

気虚…活動エネルギーが不足した状態のことです。血液が体内を巡るのには心臓のポンプの力と毛細血管の周りにある筋肉のはたらきによるんです。気虚の人はポンプのはたらきも筋肉も力がないために、血液が滞りやすくなるんです。

陽虚…体の中に冷えがある人のことです。高齢になると熱量を充分に作れなくなります。お仕事などでいつも寒いところにいる人や、冷たいものの摂り過ぎから起こることがあります。春の小川はさらさら流れますが、水温が低くなると流れが悪くなるように、血液の流れが悪くなります。

陰虚…人は年を取ってくると、体内の水分量も次第に減って来ます。性別や年齢で差はありますが、胎児では体重の約90パーセント、新生児では約75パーセント、子どもでは約70パーセント、成人では約60~65パーセント、老人では50~55パーセントを水が占めていると言われます。当然血液中の水分も減少してしまうので、血栓ができやすくなるわけです。今から暑くなっていきますが、汗をかきやすい真夏に心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすいのはこのためです。

気滞…現代社会はストレス社会…とも言われます。ストレスが長期に人の体に加わると血管が収縮した状態が続き、弾力性をなくし、その結果、幅が狭くなって血液は滞りやすくなります。

痰濁…ヘドロで汚れた川のような状態で、ドロドロした血液が流れる血管は血液の滞りを起こしやすくなります。栄養…特に糖分や油ものの摂り過ぎである「供給過剰」と、蓄えられた栄養分があまってしまう「運動不足」が大きな原因であると考えられます。本来なら血液を通して体の隅々まで送られ、そこで使われるはずのブドウ糖・コレステロール。これらが必要以上に血液中に増えて血管を詰まらせることにも…。コレステロールや中性脂肪の多い血液は、西洋医学では高脂血症と言われます。

タイプによって、その改善方法は様々です。

気虚(ききょ)タイプ
【対策】心臓のポンプとしての力を強める
【生薬・処方】朝鮮人参、黄耆、麦味参顆粒、補中益気湯、衛益顆粒など

血虚(けっきょ)タイプ
【対策】血液を増やす
【生薬・処方】当帰、阿膠、熟地黄、婦宝当帰膠、参茸補血丸など

陽虚(ようきょ)タイプ
【対策】体を温める
【生薬・処方】鹿茸、附子、肉桂、八味丸、海馬補腎丸など

陰虚(いんきょ)タイプ
【対策】体液を増やす
【生薬・処方】麦門冬、生地黄、八仙丸、瀉火補腎丸など

気滞(きたい)タイプ
【対策】ストレスを緩和し、血管を拡張する
【生薬・処方】木香、香附子、柴胡、逍遥丸、開気丸など

痰湿(たんしつ)タイプ
【対策】過剰な脂質や水分を除く
【生薬・処方】沙棘油、沙棘フラボノイド、山楂子、半夏、温胆湯など