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「自然界における気候の変化は人間の体の変化と通じる」という考えが中医学にはあります。秋は乾燥の季節。この乾燥によるダメージを最も受けやすいのが「肺」を中心とする呼吸器系です。

健康な人の「肺」は、陰液(血液・体液)によって潤され、呼吸や防衛の働きを果たしています。乾燥した気候によって「肺」の陰液が不足してくると、から咳、喉の渇き、声のかすれ、ほてり、皮膚の乾燥感…といった特有の症状が現れやすくなります。全身に水を散布する「肺」が乾くので、セキが出やすいのです。決まってこの時期になるとひどくなる人は、体質を考慮しなければなりません。

ポイントは「肺」と「腎」。「肺」は先程挙げたとして、中医学には「腎は水をつかさどる」…という考えがあります。この考えは西洋医学の「腎臓」のはたらきに近いです。

また一方で、「腎は精をつかさどる」という考え方もあります。ここでの「精」とは、成長発育・生殖作用のもととなる大切な栄養物質(ホルモンの一部を含む)の総称です。

生まれつき体が弱い人や老化・慢性病の人は「腎」の陰液が不足しやすい…つまり水分と「精」の不足状態に陥りやすくなります。みずみずしいブドウ(人間)が乾燥(老化など)によってレーズンになってしまう…という現象もそうかもしれません。

いわゆる「腎陰虚(じんいんきょ)」の症状は痩せている人に多く見られ、口渇や乾燥肌、シワが目立つ、手足がほてる…といった症状が出やすくなります。

このようなタイプの人が秋の乾燥気候の影響を受けると、呼吸器にも影響が出やすくなります。中医学で言う「肺腎陰虚(はいじんいんきょ)」という状態です。

そんな「肺腎陰虚」に対する代表的な漢方薬が「八仙丸(はっせんがん)」です。

「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」に、「肺」を潤しのどや気管支の炎症を鎮める作用のある麦門冬(ばくもんどう)と体を引き締め陰液の守る「五味子(ごみし)」が加わった処方です。「八仙長寿丸(はっせんちょうじゅがん)」とも言われ、中国では古来より不老長寿の薬として珍重されてきました。

「八仙丸」は喘息やアトピーなどで、この時期に皮膚が乾いたり、症状が悪化する傾向の人にもおススメです。