こんにちは。

「気」「血」「津液(水)」は、ボクたちの人体の基礎物質と考えられ、「気血津液弁証」は、このバランスをチェックする物差しです。

中医学では、この「気」「血」「津液(水)」が体の中を不足なく、しかもちゃんと巡っていることが「健康」な状態である…と考えます。この状態(中庸)のバランスが乱れてしまうと、人は「健康」の枠から外れていきます。

体の中で「どうなっているか(虚実)」をもう少し詳しく分析する…というものに「気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう)」があります。

「気」が不足した状態(虚証)を「気虚(ききょ)」、滞った状態(実証)を「気滞(きたい)」と言い、「血」が不足した状態(虚証)を「血虚(けっきょ)」、滞った状態(実証)を「血瘀(けつお)」と言い、「津液(水)」が不足した状態(虚証)を「陰虚(いんきょ)」、滞った状態(実証)を「痰湿(たんしつ)」。

よく漢方の特集で「タイプ別」とある場合、大体この6つに分けてあることが多いです。

「気」に関しては「気虚」と「気滞」の2つ。

「気虚」タイプは、体のエネルギー源である「気」の不足です。疲労感や倦怠感、冷えが出やすいほか、カゼを引きやすい、食欲不振や胃もたれ、軟便、下痢…などの症状が出たりします。花粉症などのアレルギー症状もあらわれやすくもなります。

「気虚」タイプの対策は、「気」を補う「補気(ほき)」が中心となります。

一方の「気滞」タイプは、「気」のめぐりが悪い状態。自律神経のコントロールが上手くいかず、精神的に不安定であったりします。イライラ、怒りっぽい、憂うつ、不安、落ち込みやすい…などの症状が出ます。お腹や脇が張ったり、ガスやゲップが多い状態です。風船がパンパンに膨らんでいるような感じです。高血圧などの症状や、生理不順や月経前症候群(PMS)などもあらわれやすくなります。

「気滞」タイプの対策は、「気」をめぐらせる「理気(りき)」が中心となります。

「血」に関しては「血虚」と「瘀血」の2つ。

「血虚」タイプは、ただの貧血…というわけではありません。めまいや立ちくらみ、乾燥や痒みなどのお肌のトラブル、白髪や抜け毛などの髪のトラブル、生理不順や不妊症などの婦人科のトラブルなどにも関係があります。その他には、目の疲れや手足のしびれ、不眠や息切れなども…。

「血虚」タイプの対策は、「血」を補う「補血(ほけつ)」が中心となります。

一方の「瘀血」タイプは、「血」のめぐりが悪い状態。「血」のめぐりが悪い場合は、皮膚や関節、体の末端に栄養が運ばれず、新陳代謝も低下します。そうなると顔、唇、歯茎の色が暗くなったり、シミやソバカスが多くなります。肩こりや関節痛、頭痛なども…。婦人科の場合では、生理痛が重かったり、レバー状の血塊が混ざったり、子宮内膜症や子宮筋腫などになりやすくなります。

「瘀血」タイプの対策は、血行を促進させる「活血(かっけつ)」が中心となります。

「津液(水)」に関しては「陰虚」と「痰湿」の2つ。

「陰虚」タイプは、体の「水分」が不足した潤い不足です。体の潤いがなくなり、余計な熱が生じ、のぼせやすくなります。更年期は、この陰虚に傾きやすくい状態です。のぼせ、ほてり、耳鳴り、寝汗、生理不順などの更年期症状は、陰虚体質の症状に当てはまります。お肌の乾燥やカラ咳、コロコロ便、微熱…などの乾燥状態も見られます。

「陰虚」タイプの対策は、「陰」を補う「補陰(ほいん)」が中心となります。

一方の「痰湿」タイプは、「水」のハケが悪い状態。たまった老廃物である「痰湿」が外に出ようとするために、ニキビや吹き出物、痰、おりものが増えたりします。肥満や水太り、ダルさ、吐き気、めまい、むくみなども見られます。高脂血症や糖尿病にもなりやすくなります。このタイプには、熱がこもる熱タイプと体が冷えている寒タイプがあります。

「痰湿」タイプの対策は、水分代謝をよくする「利水(りすい)」が中心となります。

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ただ、どれか1つのタイプ…というわけではなく、いくつか絡み合っていることもあります。たとえば血行が悪い…という症状があるとすると、一言で「瘀血」ですが、原因は人それぞれ…。

・元気不足タイプ(気虚)…血を巡らせるエネルギーである「気」が不足することで、血流が滞ります。
・イライラタイプ(気滞)…ストレスで血管が緊張し、伸縮力が弱まり、血行が悪くなります。
・貧血タイプ(血虚)…赤血球などの血液成分が不足することで、血行不良が起こります。
・カサカサタイプ(陰虚)…水分が不足して、熱がこもり、血液がドロドロになります。
・溜め込みタイプ(痰湿)…余分な水分や脂肪が溜まり、血管に老廃物がついて血液の流れを妨げます。
・冷えタイプ(陽虚)…体の冷えが原因で血液の流れが滞ってしまいます。

複数のタイプが混ざっている場合もあり、ただ血液をサラサラな状態にすれば改善できるというわけではないんです。なので、2~3種類の漢方薬を合せることで、対応していくこともあります。